Start Japan Japan — in Japanese 米INF離脱、欧州を分断

米INF離脱、欧州を分断

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トランプ米政権が中距離核戦力(INF)廃棄条約の 破棄を表明したことを巡り、 欧州内の 溝が深まっている。 ドイツやフランスが核開発競争を加速しかねないと反発する一方、 ロシアの 脅威に敏感
【ベルリン=石川潤】トランプ米政権が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明したことを巡り、欧州内の溝が深まっている。ドイツやフランスが核開発競争を加速しかねないと反発する一方、ロシアの脅威に敏感な英国やポーランドは米国支持の姿勢を鮮明にしている。 「チャンスがある限り、あらゆる外交手段を使って戦う」。ドイツのマース外相は独メディアのインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国による協議などで米国に翻意を促していく考えを示した。フランスのマクロン大統領もトランプ米大統領との電話協議で「条約は欧州の安全保障に必要」と訴えた。 欧州にとって、射程500~5500キロメートルの地上発射型の巡航ミサイルの開発や配備を禁じるINF条約は安保の柱の一つだ。ロシアが開発したとされる地上発射型巡航ミサイル「SSC8」の射程は2600キロメートル程度といわれ、独仏などの欧州主要部がすっぽり収まる。ロシアを条約の枠組みにどう引き戻すかがNATOの課題だったはずなのに、条約破棄を唐突に打ち出した米国への戸惑いを隠せない。 一方、英国のウィリアムソン国防相は支持をいち早く表明した。米国との「特別な関係」に加え、3月には元ロシア情報機関員らへの暗殺未遂事件が英国内で起きており、対ロ強硬論に傾きやすい。ポーランドのドゥダ大統領も米国の決断は「理解できる」と語った。バルト海沿岸や東欧の諸国にとってロシアの脅威は切実で、安保で頼れるのは独仏ではなく米国という現実がある。 欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は「(米国が)同盟国、世界全体の安全保障へ及ぼす影響を考慮するよう期待している」と煮え切らない。メルケル独首相とマクロン仏大統領は独仏を軸にした欧州統合の絵を描くが、安全保障をめぐる足並みの乱れは死角になりかねない。

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