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“温室効果ガスさらに排出削減を” 国連のIPCCが8年ぶり報告書

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世界各国の科学者でつくる国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」は、温室効果ガスの削減対策などに関する報告書を8年ぶりに公表しました。地球温暖化を1.5度に抑えるには、世界全体の排出量を2025年には減少に転じさせ、その後、大幅に削減する必要があるとして対応の必要性を訴えています。

IPCCは、先月21日から最新の研究結果に基づく議論をオンラインで行い、温室効果ガスの削減など気候変動対策に関する報告書を8年ぶりにまとめ、日本時間の5日に公表しました。
報告書では、世界の温室効果ガス …

世界各国の科学者でつくる国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」は、温室効果ガスの削減対策などに関する報告書を8年ぶりに公表しました。地球温暖化を1.5度に抑えるには、世界全体の排出量を2025年には減少に転じさせ、その後、大幅に削減する必要があるとして対応の必要性を訴えています。 IPCCは、先月21日から最新の研究結果に基づく議論をオンラインで行い、温室効果ガスの削減など気候変動対策に関する報告書を8年ぶりにまとめ、日本時間の5日に公表しました。 報告書では、世界の温室効果ガスの排出量は近年も増加を続け、現在各国が表明している2030年の削減目標では、平均気温の上昇は、気候変動による深刻な影響が広がるとされる「1.5度」を超える可能性が高いとしています。 そのうえで「1.5度」に抑えるには、世界全体の温室効果ガスの排出量を遅くとも2025年までに減少に転じさせたうえで、2030年に2019年と比べて43%程度、2050年に84%程度まで大幅に削減する必要があるとしています。 報告書では、排出削減について部門別にも分析されていて、中でも排出量の3分の1を占めるエネルギーの部門は大きな転換が必要だとしています。 石炭や石油など化石燃料全体の消費量を大幅に減少させ、風力や太陽光といった再生可能エネルギーなどに転換する必要があるとした一方で、再生可能エネルギーですべてまなかうことは難しく、水素の活用やエネルギーを効率よく使うシステムの導入など、さまざまな選択肢を組み合わせる必要があるとしています。 IPCCは、積極的な気候変動対策は持続可能な社会に貢献するものの経済構造の大きな変化を伴うとして、多くの人たちに意思決定に参加してもらい、社会的な信頼を構築することが大事だと呼びかけています。 IPCCは、去年8月とことし2月、それに今回出した報告書の内容をまとめた全体の報告書をことし9月に公表する予定で、11月にエジプトで開かれる国連の気候変動対策の会議「COP27」の議論にも影響を与えそうです。 エネルギー 建築 交通など各部門での削減対策も 報告書では、すべての部門で温室効果ガスの排出を急速かつ大幅に削減しなければ、世界の気温上昇を1.5度に抑えられないとして、部門別の削減対策が盛り込まれています。 世界全体の排出量の4分の1程度を占める産業部門での削減には、エネルギーや材料を効率的に使ったり、新たな生産プロセスを採用したりする必要があるとしています。 産業のうちセメント製造では、新たな技術開発が進むまで大幅な削減が難しいとして、二酸化炭素を回収して地下に貯留することなどにも言及しています。 建築部門では、建材の製造による排出も含めると世界の排出量全体の2割ほどを占めますが、エネルギー効率を高めたり再生可能エネルギーを導入したりする政策を実施することで、建物からの排出量を2050年に実質ゼロに近づけることができるとしています。 交通部門では、電気自動車とクリーンな電力の組み合わせが最大の削減対策となる可能性を示したほか、テレワークやカーシェアリングなどを組み合わせることでも削減が期待できるとしています。 そして、多くの対策は二酸化炭素の削減量1トン当たり100ドル、日本円にして1万2000円未満のコストで導入することができ、こうした対策を取ることで2030年に世界の排出量を半減できるしています。 2007年ノーベル平和賞受賞の「IPCC」 報告書とは 国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」は1988年、WMO=世界気象機関とUNEP=国連環境計画によって設立されました。 各国の政府から推薦された研究者が協力し、最新の研究成果をもとに気候変動の現状や今後の見通し、自然や社会などへの影響、温室効果ガスの排出を削減する対策について、個別の報告書と全体の報告書を数年ごとに発表しています。 第1次評価報告書は1990年に発表され、1992年に採択された国連の「気候変動枠組条約」の、重要な根拠の1つとなりました。 第5次評価報告書は、2013年から翌年にかけて発表され、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度未満に保つとともに、1.

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