岸田政権の中枢に多くの政治家を送り出している自民党安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題が、日本の政治を揺るがしつつある。パーティー券収入を隠して裏金化し、議員らにキックバックしていたという疑惑が浮上した。その実態はどのようなものなのか。問題を告発した有識者と一緒に紐解いた。
岸田政権の中枢に多くの政治家を送り出している自民党安倍派の政治資金パーティーをめぐる問題が、日本の政治を揺るがしつつある。パーティー券収入を隠して裏金化し、議員らにキックバックしていたという疑惑が浮上した。その実態はどのようなものなのか。問題を告発した有識者と一緒に紐解いた。
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自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとみられる問題が、日本を揺るがしている。岸田政権の中枢を占める安倍派幹部は軒並み関与を疑われている。臨時国会が 閉会して捜査当局の動きが本格化すれば、政権にとって大打撃となることは想像に難くない。
それにしても、「裏金」「キックバック」「ノルマ」といった、いかにも疑わしい言葉が飛び交う「パーティー」とは、いったいどういうものなのか。パーティー券はどのように売られ、裏金作りはどのように行われるのか。この問題を告発し、捜査の火付け役となった「政治資金オンブズマン」代表の上脇博之・神戸学院大学教授といっしょに考えた。「参加者を楽しませる気はない」
「パーティーと聞けば、どこかウキウキしてしまうような楽しい催しを想像するでしょう。でも、政治資金パーティーはまったく違います」。上脇教授は解説する。「政治家が資金を調達するために、高額の券を売りさばくのが政治資金パーティーです。参加者を楽しませる気はないし、会場に来てくれなくてもいい。お金を払ってくれればいいんです」
筆者自身、その類いのパーティーをいくどか取材したことがある。自民党が隆盛を誇った 代初頭の小泉政権下、国会周辺の有名ホテルはどこでも、夜な夜な議員のパーティーが開かれていた。
政権幹部は夕方以降のスケジュールもびっしり埋まっていて、黒塗りの車で会場を回る。来賓として壇上に立ち、短いスピーチをして列席者からやんやの拍手を浴びる。ほどなくして立食形式の会食に移ると、これといった余興もなく30分ほどでお開きとなる。
最後に会場出口でびょうぶの前にならんだ政治家と握手をするのが、参加者にとってはごく限られた接点となるのが通例だった。参加者が口にできる食べ物はほんのわずか。コロナ禍に入ると、その食事すら出ない会合が増えたと言われる。
23年5月に東京プリンスホテルで開かれた安倍派のパーティーの模様は、テレビや新聞で繰り返し報道されている。キャパシティーは立食形式で2000人ほどとされる会場「鳳凰(ほうおう)の間」がすし詰め状態となった。
パーティーの収支は政治資金収支報告書に記載するのが法律(政治資金規正法)の決まりで、一般に公開される。直近の に公表された22年の安倍派の報告書をみると、パーティー収入は9480万円、開催経費は2591万円だった。差し引きすると実に収入の7割超、約6888万円が利益になっていた計算だ。券の値段は1枚2万円が相場と言われる。収入を割り算すると4740枚分で、会場のキャパの2.