差し歯や入れ歯を作る「歯科技工士」のなり手不足が深刻だ。高齢化が進み、国家試験の合格者数はこの10年で4割減少。一部で改善策も図られるが、「長時間・低収入」が課題で、業界では「入れ歯が届かない未来」…
差し歯や入れ歯を作る「歯科技工士」のなり手不足が深刻だ。高齢化が進み、国家試験の合格者数はこの10年で4割減少。一部で改善策も図られるが、「長時間・低収入」が課題で、業界では「入れ歯が届かない未来」を心配する声がある。
大阪府内で夫婦が運営する小さな歯科技工所。特殊な工具を使いながら削ったり磨いたりしながら「一点物」の入れ歯を仕上げていく。
「人間としてまともな生活ができるくらいの余裕はほしい」。男性技工士(51)と技工士の妻(50)はため息をついた。
スタッフと3人で毎日、 間近く細かい作業を続けるが、保険による総入れ歯を作って受け取る収入は2万円あまり。生活はぎりぎりで、 末の銀行の預金残高は13万円足らずだった。
夫婦は技術向上のため各地の学会に足を運び、納得するまで修正することなどを理解してくれる歯科医からのみ受注する。「患者の体の一部をつくる技術者のプライドです。でも、まじめにやろうとするほど苦しい状況」と妻は声を落とす。
厚生労働省によると、 時点の歯科技工士は約3万3千人。ピークだった00年(約3万7千人)から減少傾向が続く。国家試験の合格者数も、24年度は684人と、全国統一試験となった15年度から約4割減った。「歯科技工士」の資格を持つ人は12万人を超えるが、資格が職業とうまく結びついていない。
公益社団法人「日本歯科技工士会」の24年の調査では、約3割が の労働時間が「 間以上」と答え、仕事上の問題について73.