Start Japan Japan — in Japanese デフレ脱却はまだ?物価が上がり続けているのに【経済コラム】

デフレ脱却はまだ?物価が上がり続けているのに【経済コラム】

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次の文章を一読して、どんな印象を持つでしょうか。「日本経済は、明らかにデフレの状況にはなく、経済学的に言えばインフレの状…
次の文章を一読して、どんな印象を持つでしょうか。
「日本経済は、明らかにデフレの状況にはなく、経済学的に言えばインフレの状態にあるが、再びデフレに後戻りする見込みがないとまでは言えず…」
奥歯にものが挟まったような言い回しのこの文章、1か月余り前に発表された政府の経済財政白書の一節です。日本経済がまだデフレから脱却したとは明言できないということを、このように表現しています。
『デフレ脱却』より、足元の物価高への対応を、という声も聞こえてきそうですが、改めて、『デフレ脱却』とは何なのか、なぜ政府は慎重な言い方を続けるのか、専門家の見方も交えて考えます。
(経済部記者 横山太一)物価上昇は続いているのに…
発表された、ことし の消費者物価指数はプラス2.7%となりました(「総合」、「生鮮食品除く総合」いずれも)。
2%を超える上昇率は3年以上にわたって続いていて、物価が下がり続けた時代と比べると隔世の感があります。
この状況について政府は、 末に公表した「経済財政白書」で、こう記しました。
「明らかにデフレの状況にはなく、経済学的に言えばインフレの状態にあるが、再びデフレに後戻りする見込みがないとまでは言えない」。
持って回った言い方ですが、かみ砕くと、もうデフレには戻らないという確信までは持てていないので、「デフレの状況ではないが、『デフレ脱却』には至っていない」段階だというわけです。
さらに白書は、次のように続きます。
「デフレに後戻りしないかを判断するにあたって物価の基調とともに(略)さまざまな指標やデータを総合的に考慮し慎重に判断することにしている」。
そして、デフレ脱却の判断に使われる指標としては
▽消費者物価指数
▽GDPデフレーター
▽需給ギャップ
▽単位労働コスト
という4つに注目が集まるが、この4つをクリアしても、それだけで判断できるわけではない、今はアメリカのトランプ政権の関税措置の影響も気になるし、個人消費の力強さも確認したいとして、「デフレに後戻りするリスクがないかを総合的に点検したい」と締めくくっています。
デフレに戻らないと確信が持てる時期など本当に来るのか、という冷静な指摘も出ていますが、石橋を何度もたたいて渡るような慎重さで『デフレ脱却』を判断しようというのが、今の政府の姿勢です。デフレに戻るリスクは極小?
これに対し、専門家からは「すでにデフレから脱却しているのではないか」という主張が出ています。
その根拠の1つとなっているのが「デフレリスク指数」の低さです。
この指数は、IMF=国際通貨基金が算出方法を定めています。
消費者物価指数に加えて、GDPギャップや株価、為替、銀行の融資量、通貨の供給量など、合わせて11の指標で構成されています。
この指数が「1」に近ければ「デフレに戻るリスクは高い」。
逆に「0」に近ければ「デフレに戻るリスクは低い」と判断できるといいます。
岡三証券の中山興チーフエコノミストが から までのデータを分析したところ、 以降の「デフレリスク指数」は、この20年余りで最も低い「0.

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