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トランプ大統領:協調より国益…自国中心主義へかじ切る

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NewsHub【ワシントン西田進一郎】米共和党のドナルド・トランプ新大統領(70)は20日、第45代大統領に就任した。就任演説後、ホワイトハウスのホームページで「米国第一」に基づく6分野の基本政策を発表し、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱を表明。国際社会を主導してきた超大国の米国が自国中心主義へとかじを切ったことが鮮明になり、世界がかつてない不安定な時代に突入したことを象徴する日となった。
基本政策として掲げた6分野は、エネルギー▽外交▽雇用・経済▽国防▽治安・移民▽貿易。北米自由貿易協定(NAFTA)についてメキシコ、カナダとの再交渉も表明し、「相手側が応じなければ離脱の意向を通知する」と明記した。不法移民や麻薬流入などを防ぐため、国境に壁を建設するとし、暴力的な犯罪歴がある不法滞在の外国人を送還すると強調。オバマ前政権による地球温暖化対策の行動計画などを撤廃し、国産石油の増産や石炭産業の復活を挙げた。
また、テロ組織対策を「最優先課題」と位置づけ、必要なら他国と共同で軍事作戦を行う考えを表明。米軍の「再建」を掲げ、イランや北朝鮮などからの攻撃に備えた最先端のミサイル防衛システム開発を約束した。
就任演説でトランプ氏は、「貿易、税金、移民、外交に関する全ての決定を米国の労働者や家族に利益をもたらすために下す」と新政権の行動原理を説明。「米国の製品を購入し、米国人を雇用する」という保護主義的な姿勢を強調した。さらに「すべての国は自国の利益を第一に考える権利がある」と主張し、国際協調を重視したオバマ前政権からの方針転換を鮮明にした。「古い同盟を強化し、新しい同盟を築く」と主張し、アジアや欧州の同盟国に軍事費などの負担増を求める考えも示唆した。
米国の歴代大統領は就任演説で、国際社会を主導する理念を語ってきたが、トランプ氏の演説は、白人支持層への訴えとほぼ同じで、極めて内向きな異例の内容となった。また初めての大統領令として、トランプ氏は20日、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃に向けた措置を指示した。
一方、首都ワシントンでは20日、就任に反対する市民の一部が暴徒化し、200人以上の逮捕者が出た。就任式を巡る混乱としてはベトナム戦争に反対するデモ参加者81人が逮捕された1969年のニクソン大統領の就任式の例がある。

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