スイス・ ジュネーブで始まった世界保健機関(WHO)の 総会にオブザーバー参加が認められなかった台湾の 市民団体関係者ら約50人が22日、 国連欧州本部前の 広場で抗議した。 抗議活動では、 「WHOの ための 台湾…
スイス・ジュネーブで始まった世界保健機関(WHO)の総会にオブザーバー参加が認められなかった台湾の市民団体関係者ら約50人が22日、国連欧州本部前の広場で抗議した。抗議活動では、「WHOのための台湾」「台湾は中国ではない」などと連呼した。
ジュネーブを訪れている台湾の陳時中(チェンシーチョン)・衛生福利部長(保健大臣に相当)は21日、一部の日本メディアとの会見に応じ、「総会の重要性は『健康権』の普遍性を示す場ということだ。それは政治で傷つけられるべきではない」と批判した。
陳部長は会見で、感染症の大流行を監視する上で、台湾が亜熱帯の戦略的な位置にあることを強調した。
特に、温暖化に伴って熱帯病が台湾よりも北の日本などの地域にも広がる可能性を指摘。「台湾は東南アジアの国々と(感染症)拡大防止のためのネットワークを築き上げてきており、台湾を(総会から)排除することはそのネットワークの機能を損ない、地域の公衆衛生の安全を脅かしかねない」と主張した。
また2003年の新型肺炎SARSが、中国南部から台湾を含む各国・地域に拡大したことを念頭に、「台湾と中国の保健分野での協力は、台湾海峡を挟んだ両側の人々にとって利益をもたらす」とも述べた。
台湾側は公益性を前面に掲げて、来年以降のWHO総会復帰を目指し、各国に働きかけを強めていく構えだ。だが昨年の蔡英文(ツァイインウェン)総統就任以来、中台関係の停滞が続いており、台湾側にとって前途は多難だ。(ジュネーブ=松尾一郎)