経営再建中の 東芝は10日、 2017年3月期の 有価証券報告書について、 PwCあらた監査法人から、 一部に不適切な部分はあるが重要度は低いことを意味する「限定付き適正意見」 を得て関東財務局に提出した。 東芝が当初予定より3カ月遅れで発表した17年3月期連結決算によると、 最終(当期)損益は国内製造業では過去最大となる9656億円の 赤字(前期は4600億円の 赤字)が確定した。 今年3月末時点の 株主資本は5529億円の マイナスで、 大幅な債務超過となった。
経営再建中の東芝は10日、2017年3月期の有価証券報告書について、PwCあらた監査法人から、一部に不適切な部分はあるが重要度は低いことを意味する「限定付き適正意見」を得て関東財務局に提出した。東芝が当初予定より3カ月遅れで発表した17年3月期連結決算によると、最終(当期)損益は国内製造業では過去最大となる9656億円の赤字(前期は4600億円の赤字)が確定した。今年3月末時点の株主資本は5529億円のマイナスで、大幅な債務超過となった。
東芝とPwCの間で、米原子力事業の損失を認識した時期を巡る意見の相違は解消されなかったが、PwCはそれ以外の主要な点については「適正」と結論付けた。この日記者会見した東芝の綱川智社長は「当社の決算は正常化した」と述べ、経営課題を一つ乗り越えたことに胸を張った。また、半導体子会社の売却について「年度内売却に最善を尽くす」と強調し、「日米韓連合」のほか、米ウエスタン・デジタルや台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の陣営とも交渉していることを認めた。
東芝は同日、17年4~6月期決算も発表し、本業のもうけを示す営業損益は966億円の黒字(前年同期は163億円の黒字)と4~6月期としては過去最高を記録した。ただ、売却を目指す半導体メモリー事業分がうち903億円と大半を占め、同事業売却後の経営の先行きが懸念される結果になった。最終損益は503億円の黒字(同798億円の黒字)だった。
東芝は15年に発覚した不正会計問題を受け、東京証券取引所から内部管理体制に問題がある「特設注意市場銘柄」に指定されている。今回、監査法人から「不適正」意見を受ければ、東証が上場廃止を判断する可能性が高まることも懸念されていたが、「不適正」が避けられたことで、直ちに上場廃止になる可能性は遠のいた。
ただ、PwCは、不正会計などを防ぐ仕組みが整っているかを評価する「内部統制報告書」については「不適正」との意見を付けた。この意見が東証による上場廃止の審査に影響する可能性もあり、上場維持にはなお懸念が残っている。【安藤大介、和田憲二】