【ワシントン=小雲規生】 ワシントンで開かれていた米国、 カナダ、 メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の 第1回会合が20日、 閉幕した。 3カ国は閉幕後の …
【ワシントン=小雲規生】ワシントンで開かれていた米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の第1回会合が20日、閉幕した。3カ国は閉幕後の共同声明で、「包括的な交渉を加速させる」と早期合意に意欲を示した。ただし初会合では大きな進展はなかったもようで、今後の交渉が難航する可能性もある。 共同声明によると、16日から3カ国は5日間にわたった第1回会合で20以上の分野を協議した。3カ国はそれぞれ見直し案の概要を提案したが、第2回会合までに提案の修正や追加を行う考えだという。 米国は自動車の輸出入で、域内で生産された部品をどの程度使えば完成品の関税をゼロにするかを定めた原産地規則の引き上げを目指すとしてきた。しかしロイター通信などによると、米国は第1回会合では自動車の原産地規則について具体的な数字は提案しなかったという。 さらに通商紛争解決の分野では、米国は反ダンピング(不当廉売)関税などの是非について当事国の専門家による委員会が判断する現行制度の撤廃を要求。見直しに慎重なカナダやメキシコとの溝は埋まっていないもようだ。 3カ国は第2回会合を9月1~5日にメキシコで開催する。さらに第3回会合を9月下旬にカナダで、第4回会合を10月中に米国で開く。3カ国は自国の産業界や労働組合、議会とも調整しながら、交渉を進めるとしている。 ただしメキシコと米国は来年に選挙を控えており、NAFTA見直し実現のためには年明けには合意する必要があるとの見方が強い。原産地規則や紛争解決など重要分野での大幅な見直しを行うことになれば、協議が長引く可能性が高まりそうだ。