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景気回復に影、景況感2年ぶり悪化 先行き曇らす円高

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6年目に入った景気回復に影がさしてきた。 日銀が2日発表した3月の 全国企業短期経済観測調査(短観)では、 大企業製造業の 景況感が8四半期ぶりに前期より悪くなった。 原油などの 値上がりに加え、 足元で進む円高
6年目に入った景気回復に影がさしてきた。 日銀 が2日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感が8四半期ぶりに前期より悪くなった。原油などの値上がりに加え、足元で進む円高で企業が先行きを慎重に見始めている。景気回復が途切れるとの見方は少ないが、17年に続いた高めの経済成長はいったん緩やかになりそうだ。 「大企業の景況感はピークに達し、年内は横ばいで推移する可能性がある」。 SMBC日興証券の丸山義正氏は指摘する。今後の景況感を占ううえで丸山氏が重視するのが、円相場だ。 短観で明らかになった2018年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=109円66銭。17年度の想定レート110円67銭より1円程度の円高・ドル安を見込む。 しかし、足元の円相場は1ドル=106円台と、年明けの1ドル=112円台から約6円も円高・ドル安に進んでいる。みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「1ドル=109円台の円安・ドル高水準に戻る糸口はなかなか見いだせない」と語る。 三井住友アセットマネジメントによると、主要企業224社の18年度の経常利益は円相場が1ドル=110円で推移すれば前年度比で8.8%増えるが、105円まで円高・ドル安が進めば3ポイント下振れする可能性があるという。 円高の影響は先行きへの見方により大きくにじみ出ている。短観で景況感を示す業況判断指数(DI)の3カ月後の先行きは、収益が為替相場の影響を受けやすい自動車が13と9ポイントの悪化、電気機械も23と1ポイントの悪化を見込む。 SMBC日興証券の丸山氏は「足元の為替水準が続けば、6月の次回調査の景況感にも下押し圧力がかかる可能性がある」と話す。 円高が先行きの懸念材料になっているのに対し、足元で景況感を曇らせているのは資源の値上がりと、人手不足による人件費の上昇だ。 大企業製造業で、景況感が悪化したのは鉄鋼や非鉄金属といった素材業種で、22と5ポイント悪化した。原料高が進んだが、価格転嫁が進んでいないためだ。仕入れ価格が「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を引いた仕入れ価格判断DIは、素材業種でプラス36と12ポイントも上昇した。一方で、販売価格判断DIはプラス18と4ポイントの上昇にとどまる。 人手不足は建設や卸売とった大企業非製造業の景況感を押し下げた。コスト上昇要因に伴う景況感の下押し圧力に加えて、円高傾向が続いて企業収益に波及すれば、景況感はさらに悪化する可能性がある。 3月の民間エコノミストの経済見通し「ESPフォーキャスト調査」によると、18年1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比年率0.71%増で、17年10~12月期の実績値1.6%増から減速する見通しだ。世界経済の回復と好調な内需に支えられて6年目に入った景気回復はこれから正念場を迎える。

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