政府の 地震調査委員会は27日、 今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる地震の 確率などを示した2017年版「全国地震動予測地図」 を公表した。 首都直下が懸念される関東は引き続き確率が高く、 南海トラフを震源にした大地震が想定される東海から四国にかけた地域ではわずかに増えた。 【飯田和樹】
政府の地震調査委員会は27日、今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる地震の確率などを示した2017年版「全国地震動予測地図」を公表した。首都直下が懸念される関東は引き続き確率が高く、南海トラフを震源にした大地震が想定される東海から四国にかけた地域ではわずかに増えた。【飯田和樹】
最高レベルの「26~100%」だったのは、関東地方や東海から四国地方、千島海溝に近い北海道東部など。都道府県庁所在地でみると、首都直下などの影響で千葉市(85%)や、横浜市・水戸市(ともに81%)などが高かった。東京都(47%)は地盤が固い新宿区を評価の基準にしており、都心全体ではもっと高いとみられる。
南海トラフ関連では高知市(74%)や徳島市(72%)、静岡市(69%)、名古屋市(46%)などで高かった。中国地方ではデータの評価方法が昨年と異なったため、松江市や山口市周辺などで確率が上がった。熊本市(7.6%)では、熊本地震とは異なる場所でまだ揺れが起きる可能性が残っており、確率に変化はなかった。
地震動予測地図で発生確率が比較的低いとされる6道県が、予測地図を基に「地震リスクが少ない」などとウェブサイト上で地元を紹介し、企業誘致に利用している。予測地図は防災意識を高める目的で作成されており、文部科学省の担当者は「不本意な使い方だ」と指摘している。
予測地図を「目的外使用」しているのは、北海道、山形、福井、岡山、広島、長崎--の6道県。広島県は「大規模地震の発生確率は低い」と強調する。熊本県もかつてサイト上で、地図を企業誘致に使った経緯がある(熊本地震後に閉鎖)。
広島県の担当者は取材に対し「(地震の可能性は)企業が気にする点なので掲載を続けたが、サイトの変更も含めて検討する」と話した。地震調査委員長の平田直(なおし)・東京大地震研教授は「確率が低いと安心してもらうための地図ではない。地震はどこでも起こりうることを認識してほしい」と訴える。【飯田和樹】