「(今回の 国外退去処分は)そうした者は米本土に安住の 地を見いだすことはない」 などとする声明をトランプ政権は発表した
朝日新聞社
米ニューヨークで20日、ストレッチャーに乗せられ自宅から救急車に運び込まれるジャキーブ・パリー氏。ホワイトハウスによると、パリー氏は同日朝、自宅からドイツに強制送還された。米ABCテレビの映像から=AP
トランプ米政権は21日、ナチスの強制収容所で看守として働いていた、ニューヨークに住むジャキーブ・パリー氏(95)を国外退去処分にしたと発表した。ドイツが受け入れることで合意したという。
ホワイトハウスの発表によると、パリー氏は1943年、当時ドイツに占領されていた現在のポーランド・トラブニキ収容所で看守を務めた。この収容所では約6千人が殺害されたとされる。
パリー氏は49年に渡米し、57年に米国市民となったが、ナチスの元看守だった経歴は隠していた。2001年、過去の経歴を政府に認め、03年に市民権が取り消され、04年には司法が国外退去を命じていた。
トランプ政権は声明で、不法移民の取り締まりで批判を受けている移民税関捜査局が国外退去を執行したと強調。過去の政権は先送りしたが、「ホロコーストの生存者とその家族のための自由という約束を守るため」に処分したと説明。
その上で「米国は、ナチスの犯罪や他の人権侵害を助長した者を容赦することはない。(今回の国外退去処分は)そうした者は米本土に安住の地を見いだすことはないという強いメッセージだ」と訴えた。(ワシントン=土佐茂生)
(朝日新聞デジタル 2018年08月22日 03時05分)