【シンガポール田辺佑介】 河野太郎外相は3日夜、 東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に出席するため滞在中の シンガポールで、 北朝鮮の 李容浩(リ・ ヨンホ)外相と短時間立ち話をした。 6月12日の 米朝首脳会談後、 日朝政府高官の 接触は初めて。 河野氏は、 核・ ミサイルと拉致問題を包括的に解決して日朝の 国交正常
【シンガポール田辺佑介】河野太郎外相は3日夜、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連会合に出席するため滞在中のシンガポールで、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相と短時間立ち話をした。6月12日の米朝首脳会談後、日朝政府高官の接触は初めて。河野氏は、核・ミサイルと拉致問題を包括的に解決して日朝の国交正常化を目指す日本の立場を伝えた。
シンガポール政府がASEANなどの外相らを招いた夕食会会場で接触した。河野氏は記者団に「李外相とディナー前後に話した。日本の基本的な立場を伝えた」と語った。李氏の反応は明かさず、「さまざまなやり取りをした」と述べるにとどめた。日朝外相の対話は、フィリピンで昨年開かれた同様の夕食会で立ち話をして以来。
米朝会談を受けて国際社会が北朝鮮との対話に傾く中、日本政府も拉致問題の解決に向けて対話を模索。安倍晋三首相は「最終的には私と金正恩朝鮮労働党委員長で解決しなければならない」と日朝首脳会談に意欲を示すが、北朝鮮国営メディアは「拉致は解決済みだ」と従来の立場を繰り返している。
河野氏は5日までシンガポールに滞在。3日夜の夕食会や4日のASEAN地域フォーラム閣僚会合で李氏と同席する機会を利用し、立ち話か短時間の会談を想定していた。日本側は「核・ミサイル、拉致問題を包括的に解決して国交を正常化し、その後に経済協力をする」(日本外務省幹部)という日本のスタンスを伝えることで、停滞が続く拉致問題の打開を図りたい考えだ。
日本政府はその上で、9月のロシアでの国際会議や国連総会などに合わせて日朝首脳会談の実現を目指す方針。ただ、自民党内には「拉致問題の見通しがないまま会談すれば、北朝鮮に足元をみられる」との慎重論が根強い。このため安倍首相は北朝鮮の姿勢を見極めつつ、首脳会談の是非を判断する意向だ。