【2月20日 時事通信社】 北朝鮮の 金正恩朝鮮労働党委員長の 異母兄、 金正男氏が殺害された事件で、 マレーシア外務省は20日、 駐北朝鮮大使を召還したと発表した。
【2月20日 時事通信社】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が殺害された事件で、マレーシア外務省は20日、駐北朝鮮大使を召還したと発表した。1973年に国交を樹立し、友好関係にあるとされる両国だが、正男氏の遺体引き渡しをめぐり、マレーシア批判を続ける北朝鮮側に抗議した形だ。大使召還は外交関係断絶にもつながる異例の措置で、両国関係に亀裂が走るのは必至だ。 北朝鮮の康哲駐マレーシア大使は17日夜、マレーシア政府に正男氏の遺体の即時引き渡しを要求。引き渡しを拒否しているマレーシア政府を「何かを隠し、だまそうとしている」「敵対勢力と結託している」などと批判した。 これに対してマレーシア外務省は20日午前、康大使を呼んで発言に関し説明を要求。死因特定は政府の責任だと強調する声明も出し、北朝鮮側にも事案の経過は伝えてきたと反論した。 外務省はさらに、康大使の批判は「根拠がない」と一蹴し、「マレーシア政府の信用を損なう試みを深刻に受け止める」と強調。平壌に駐在するマレーシア大使を「協議のため」に召還すると明らかにした。これを受け、外務省から呼び出された康大使は20日午後、記者会見を開き、「マレーシア警察の捜査を信用できない」と改めて非難した。 マレーシアは北朝鮮との国交樹立後、2004年に平壌に大使館を設置し、現在、両国間の往来にビザは不要だ。マレーシアが駐北朝鮮大使を召還するのは初めての事態とみられる。 問題は遺体の引き渡しにとどまらない。マレーシア警察は19日の会見で、新たに公表した北朝鮮国籍の4容疑者が事件当日に出国したと発表。一部報道によれば、4人は既に平壌に戻った。警察は国際刑事警察機構(ICPO)に協力を求める考えだが、北朝鮮はICPOの非加盟国で、マレーシアと犯罪人引き渡し条約も結んでいないとされ、捜査協力を求めるのは至難とみられる。 北朝鮮が今後、対抗措置として康大使を召還する可能性もあり、韓国の北朝鮮専門家は「北朝鮮とマレーシアの外交的対立はしばらく続く可能性がある」と指摘する。(c)時事通信社