東芝子会社の 米原子炉メーカー、 ウェスチングハウス(WH)は29日、 米連邦破産法11条(日本の 民事再生法に相当)の 適用をニューヨーク州連邦破産裁判所に申請し、 経営破綻した。 これに伴う損失を計上することで、 東芝は2017年3月期連結決算の 最終(当期)損益が1兆100億円の 赤字となる見通し。 国内の 製造業としては過去最大の 赤字計上となる。
東芝子会社の米原子炉メーカー、ウェスチングハウス(WH)は29日、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨーク州連邦破産裁判所に申請し、経営破綻した。これに伴う損失を計上することで、東芝は2017年3月期連結決算の最終(当期)損益が1兆100億円の赤字となる見通し。国内の製造業としては過去最大の赤字計上となる。
破産法申請によってWHは東芝の連結決算の対象から外れ、東芝は海外の原発事業から撤退する。WHは米国で4基の原子炉を建設中だが、工期の遅れなどで建設費用が増加するなど損失が膨らんでおり、東芝はWHを連結から外すことで新たに損失が発生するリスクを遮断する狙いだ。
東芝の綱川智社長は29日、東京都内で記者会見を開き、「問題の大きい海外の原発事業はほぼ撤退といえる。リスクはなくなった」と述べた。
WHの負債総額は98億ドル(約1兆円)。破産法申請によって裁判所の管理下で契約や債務を整理した上で、スポンサー企業を選定して再建を目指す。東芝はWHが借金を返せなかった場合に肩代わりをする約6500億円の債務保証を全額履行することなどで巨額の損失が出るため、17年3月期の最終赤字は従来予想の3900億円から1兆100億円に拡大する見通し。製造業としては、日立製作所が09年3月期に記録した過去最大の7873億円を上回る。
また、債務超過額の見通しもこれまでの1500億円から6200億円に拡大する。東芝は30日の臨時株主総会で半導体事業の分社化について決議する。来年度に新会社を売却することで2兆円規模の資金を調達し、債務超過の解消を目指す。
東芝は半導体事業を売却し、海外原発事業からも撤退することで二つの事業の柱を失い、今後は国内の廃炉ビジネスや社会インフラ事業に注力し、再建を図る方針だ。【小川祐希、田口雅士】