佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、 毎日新聞社主催、 大和証券グループ協賛)の 第5局は27日、 岡山県倉敷市の 料理旅館・ 鶴形(…
佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第5局は27日、岡山県倉敷市の料理旅館・鶴形(つるがた)で2日目が指し継がれ、午後7時32分、先手番の佐藤名人が107手で勝った。佐藤名人は対戦成績を3勝2敗とし、名人初防衛まであと1勝と迫った。第4局までいずれも後手番が勝っており、今シリーズで初めて先手番が勝利した。 持ち時間各9時間のうち残りは佐藤名人が29分、稲葉挑戦者が58分。第6局は6月5、6両日、甲府市で行われる。 両者が得意とする「横歩取り」の戦い。1日目から攻勢に出た名人は2日目午前、本局最長の75分の長考で51手目▲8三歩成から猛攻を始めた。飛車を犠牲にして角を成り込み、強力な馬を作ることに成功。優位を築いた。 一方、挑戦者は獲得した飛車を自陣近くに投入。懸命の粘りを見せたが、名人が着実にリードを広げ、勝ちきった。終了図では先手玉に迫る手段がなく、後手玉は次に▲7二飛成△同角▲6二金から詰む。 解説の山崎隆之八段は「名人の、思い切りのいい強気の指し方が光った一局だった。勢いに押されるように挑戦者がリズムを崩した」と語った。(深松真司) ◇ 佐藤名人の話 飛車と角を交換し、▲3七馬(85手目)とした局面で形勢がいいかなと思った。次もいつも通り自然体で臨みます。 稲葉八段の話 ▲2四飛(封じ手)に△2三歩と打てないのが誤算だった。自信のある局面はなかった。次も一生懸命頑張ります。 ◇ 〈2日目の指し手〉先手・佐藤名人 ▲2四飛(封じ手=49手目)△2二歩▲8三歩成△同飛▲6五角△8二飛▲2二飛成△同金▲4三角成△4二銀▲3四馬△4三桂▲4四角△3八歩▲同銀△3七歩▲2九銀△3二金▲2四歩△2二歩▲6六角△6四歩▲8四歩△6五歩▲7五角△7二銀▲7七桂△5二玉▲4四馬△7四飛▲2六馬△2四飛▲2五歩△8四飛寄▲同角△同飛▲3七馬△6六歩▲8五歩△3四飛▲7一飛△4五角▲1一飛成△3一歩▲6六歩△3六飛▲同馬△同角▲3八銀△6七歩▲7九玉△4五桂▲5八金△4六歩▲8二飛△6八角▲8九玉△5七桂成▲6五香(終了図)まで、佐藤名人の勝ち