【ワシントン高本耕太】 トランプ米大統領は16日、 自らに経済政策を助言する二つの 大統領諮問機関を解散すると表明した。 南部バージニア州で起きた白人至上主義者らの 衝突を巡るトランプ氏の 姿勢に抗議し、 委員の 辞任が相次いだ事態を受け、 解散に追い込まれた。 白人至上主義や人種差別を明確に否定しなかったトランプ氏への 批判は財界だけでなく共和党主流派にも広がりつつあり、 政策への 影響も懸念される。
【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領は16日、自らに経済政策を助言する二つの大統領諮問機関を解散すると表明した。南部バージニア州で起きた白人至上主義者らの衝突を巡るトランプ氏の姿勢に抗議し、委員の辞任が相次いだ事態を受け、解散に追い込まれた。白人至上主義や人種差別を明確に否定しなかったトランプ氏への批判は財界だけでなく共和党主流派にも広がりつつあり、政策への影響も懸念される。
解散する二つの諮問機関は、米製造業協議会と戦略・政策フォーラム。製造業を中心とした国内産業の再興を最重要政策とするトランプ政権下で設立され、主要企業経営者らがメンバーに名を連ねていた。トランプ氏は同日、ツイッターに「経営者に圧力をかける代わりに、両機関を終わりにする」と投稿した。
協議会委員からは、12日に発生した衝突事件を巡り、白人至上主義や人種差別への非難を明確にしないトランプ氏に対して批判の声が上がっていた。15日までに5人が辞任。16日も食品大手キャンベルスープのモリソン最高経営責任者(CEO)や化学・事務用品スリーエムのチューリンCEOらが辞意を表明した。
一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)によると戦略・政策フォーラムの委員ら十数人は同日午前、電話協議を開催。大統領と「価値観を共有しない」としてフォーラムの解散を決め、代表者がトランプ氏に電話で伝えた。トランプ氏のツイッター投稿はその直後のことだったという。15日には「(辞めた委員の)代わりはいくらでもいる」と強気の姿勢を見せていたトランプ氏だが、大量離反が出る可能性があるとみて、先手を打って自ら解散に踏み切ったものとみられる。
白人至上主義者らと反対派との衝突についてトランプ氏が「双方に非がある」とした発言を巡っては与党共和党からも批判が出ている。同党上院トップのマコネル院内総務も16日、「よきネオナチなどはいない」との声明を発表。大統領を名指しはしなかったが、ネオナチ側の参加者にも「非常に良い人々もいた」と述べたトランプ氏発言を念頭に批判したものだ。
また共和党員で、大統領を務めたブッシュ父子も連名で声明を発表し「米国は常に人種偏見、反ユダヤ主義、そしてあらゆる形態の憎悪を拒み続けなければならない」と呼びかけた。