福岡労働局は20日、 宅配最大手の ヤマト運輸が博多北支店(福岡市)の 配達員に残業代の 一部を支払っていなかったとして、 同社と同支店の 幹部2人を労働基準法違反容疑で福岡地検に書類送検した。 労働局側は同社の サービス残業をこれまで複数回是正勧告したが改善がみられず、 刑事事件化に踏み切った。 サービス残業を巡って同社が書類送検されるの は全国初。
福岡労働局は20日、宅配最大手のヤマト運輸が博多北支店(福岡市)の配達員に残業代の一部を支払っていなかったとして、同社と同支店の幹部2人を労働基準法違反容疑で福岡地検に書類送検した。労働局側は同社のサービス残業をこれまで複数回是正勧告したが改善がみられず、刑事事件化に踏み切った。サービス残業を巡って同社が書類送検されるのは全国初。
送検容疑は、昨年6月16日~7月15日の間、配達員2人に残業代の一部計約15万円を支払わなかったなどとしている。ヤマト運輸は「送検された内容は事実」としている。
福岡労働局によると、ここ数年間にヤマト運輸は福岡地区で博多北支店を含む複数の支店でサービス残業が数回発覚し、是正勧告をした。その後、改めて昨年9月に同支店などを立ち入り調査したところ、トラックへの荷物の積み込みや、配達後の伝票整理などが労働時間に含まれていないなど改善されていないことが確認された。
ヤマト運輸を巡っては、昨年8月に神奈川県で残業代の未払い、今年5月に兵庫県で勤務時間の改ざんがあったとして、それぞれ労基署が是正勧告した。同社は未払い賃金などの全社調査を今年2月に始め、9月までにグループ全体で約5万9000人に計約240億円を支払っている。
同社では近年インターネット通販の普及で宅配量が急増しているという。今回の送検を受けて同社は「お客さまに深くおわびする。全社をあげて労働環境の整備と法令順守の更なる啓発に努める」とコメントした。【遠山和宏】