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春休み予約「半分以下」 遠のく客足

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12人が死傷した草津白根山の 本(もと)白根山(群馬県草津町)の 噴火から30日で1週間。 全国有数の 温泉街・ 草津温泉は立ち入り規制区域外にもかかわらず、 宿泊施設の キャンセルが相次いでおり、 草津町は風評被害を克服しようと官民を挙げて取り組み始めた。 安全への 不安の 解消が急務であり、 同町など周辺自治体は避難計画の 策定を急ぐ。 だが、 今回の ような突発的な噴火の 予測は難しく、 実効性の ある計画を策定できるかが今後の 課題だ。
12人が死傷した草津白根山の本(もと)白根山(群馬県草津町)の噴火から30日で1週間。全国有数の温泉街・草津温泉は立ち入り規制区域外にもかかわらず、宿泊施設のキャンセルが相次いでおり、草津町は風評被害を克服しようと官民を挙げて取り組み始めた。安全への不安の解消が急務であり、同町など周辺自治体は避難計画の策定を急ぐ。だが、今回のような突発的な噴火の予測は難しく、実効性のある計画を策定できるかが今後の課題だ。
「春休みの予約がどんどん入ってくる時期なのに半分以下だ」。草津温泉旅館協同組合の黒岩裕喜男理事長は、29日に草津町内で開いた記者会見で、苦渋の表情を浮かべながら嘆いた。
同組合によると、23日の噴火後から26日午後5時までの宿泊のキャンセルは5499件で延べ2万275人。損失は2億8000万円程度と試算する。町は、2000万円を風評被害対策費として観光協会に拠出することを決定。ふるさと納税の「返礼品」として町内の温泉旅館などで使える「感謝券」の返礼割合を、3月末までの期間限定で現行の3割から4割に引き上げる。
町は観光客の不安を払拭(ふっしょく)するため、気象庁などによる本白根山の監視体制が強化されたことを懸命にPRする。ただ、遠のいた客足の回復は簡単ではない。2014年9月に噴火した御嶽山の中腹にある長野県王滝村のスキー場「おんたけ2240」は、噴火後にゲレンデの上半分が入山規制区域となり、営業が再開できたのは規制が縮小された15年2月。イベントを開いたり、宿泊優待制度を設けたりしているが、村観光総合事務所の担当者は「別のスキー場に行くようになってしまい、戻ってきてくれない」と肩を落とす。
一方で、安全対策の積み重ねで回復を遂げたケースもある。
15年5月に箱根山の噴火警戒レベルが2に引き上げられた神奈川県箱根町は、観光地の大涌谷周辺が約1年3カ月にわたって立ち入りが規制され、15年の観光客数は1737万人と1989年以降で最低を記録した。その後、火山ガス監視システムを配備。官民共同での避難訓練を定期的に実施し、温泉街の旅館・ホテル独自の「火山噴火対応マニュアル」も作った。こうした取り組みが奏功し、16年の規制解除後、17年の観光客数は規制前の2000万人台に回復する見込み。【吉田勝、島袋太輔、澤晴夫】
2014年の御嶽山の噴火災害を受け、火山災害警戒地域に指定された49火山の延べ155市町村は避難計画の策定が義務付けられているが、策定済みは3分の1にとどまる。計画には、情報収集や伝達手段、救助態勢など6項目を盛り込む必要があるが、最も策定率が低いのは「避難経路」だ。本白根山を含む草津白根山で警戒地域に指定されている群馬・長野両県の5自治体のうち、群馬県嬬恋村以外は避難経路について未策定だった。
ただ、嬬恋村の担当者も「最も安全と思われる避難経路を選定するとの記載はあるが、どの道を使って避難するか具体的な計画はない」と話す。同県草津町は今回の噴火を受け策定を急ぐ方針だが、同町総務課は「本白根山は噴火したばかりで、火山の傾向も分からない。どの方面に避難すればいいのかすら不明で、専門家に聞かないと計画を立てようがない」と明かした。
内閣府は「各火山で事情が異なり、具体的に策定するのは難しい。しかし、さまざまな現象を想定して大まかにでも策定しておかなければ、実際起きた時に対応できない」と指摘する。
一方、活発な火山活動が続く桜島がある鹿児島市。噴火の規模や降灰量、風向きなどさまざまな状況を想定し、避難先を島外と島内に分けた2種類の避難計画書があり、必要に応じて常に計画を見直している。
15年8月に噴火警戒レベルが4(避難準備)に引き上げられた時は、台風接近により想定していたフェリーでの海上避難ができないことが判明。隣の垂水市につながる唯一の県道を使った陸上避難を新たに加えた。
【山本有紀、鈴木敦子】

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