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「国と東電10m超の津波到来予見できた」

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京都地裁判決 原告110人に計1億1000万円支払い命令 東京電力福島第1原発事故に伴い、 福島、 茨城、 千葉各県などから京都府に避難するなどした57世帯174人が計約8億5000万円の 損害賠償を求めた訴訟で、 京都地裁は15日、 国と東電に対し、 原告110人に計約1億1000万円を支払うよう命じた。 浅見
東京電力福島第1原発事故に伴い、福島、茨城、千葉各県などから京都府に避難するなどした57世帯174人が計約8億5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、京都地裁は15日、国と東電に対し、原告110人に計約1億1000万円を支払うよう命じた。浅見宣義裁判長は「敷地高10メートルを超える津波の到来を予見できた」として国と東電双方の過失責任を認定。国については「どれほど遅くとも、2006年末時点で安全対策を命じる権限を行使すべきだった」と判断した。原告側は、一部原告の請求が棄却されたことなどを不服として控訴する方針。
原発避難者の集団訴訟は全国で約1万2000人が約30件提起しており、判決は5件目。国の責任を認めたのは昨年3月の前橋地裁、同10月の福島地裁に続いて3件目。同9月の千葉地裁は国の責任を否定していた。
原告の事故当時の居住地は、福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の「自主的避難区域」が143人で、同区域外の福島県や茨城、千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域。いずれも平穏な日常生活を奪われたなどと訴え、原則1人550万円の賠償を求めていた。
判決は、政府の地震調査研究推進本部が2002年に発表した福島沖でマグニチュード8級の津波地震が起きうるとする内容の「長期評価」について、「最新の公式見解で、被害発生の確率などを積極的に検討すべきだった」と指摘。国や東電は「10メートルを超える津波が到来することは予見できた」と認定した。国の賠償責任について「東電に長期評価の見解に基づく津波の高さを試算させ、敷地高を超える津波への対応を命じなかったことは違法」と認めた。
自主避難の判断基準として、原告側は「年間被ばく線量1ミリシーベルトを超える地域からの避難は合理性があった」などと訴えていた。
判決では、国の避難指示基準(年間被ばく線量20ミリシーベルト)に合理性を認めながらも、「そのまま避難の相当性を判断する基準となり得ない。個々人の置かれた状況によって、各自がリスクを考慮して避難したとしても社会通念上、相当な場合はあり得る」と指摘。自主的避難区域に居住していたか▽12年4月1日までに避難したか▽妊婦や子供がいたか--などを判断基準として示した。
また、同区域外からの避難についても▽原発からの距離や放射線量▽避難した時期▽世帯に子供などがいたか--などの判断要素を示した。【飼手勇介、野口由紀、中津川甫】
原子力規制庁法務調査室は「判決の詳細は十分承知していないが、国の主張が認められなかったと聞いている。今後、関係省庁において判決内容を検討の上、対処方針を検討していきたい」とのコメントを出した。

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