【オークランド(米カリフォルニア州)岸本悠】 米大リーグ、 エンゼルスの 大谷翔平投手(23)が1日(日本時間2日)、 当地で行われたアスレチックス戦に先発登板して投手デビューし、 6回3安打、 3失点でメジャー初白星を挙げた。 チームは7-4で勝った。 大谷は3月29日の 開幕戦で「8番・ 指名打者」 で先発出場。 球
【オークランド(米カリフォルニア州)岸本悠】米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平投手(23)が1日(日本時間2日)、当地で行われたアスレチックス戦に先発登板して投手デビューし、6回3安打、3失点でメジャー初白星を挙げた。チームは7-4で勝った。大谷は3月29日の開幕戦で「8番・指名打者」で先発出場。球団によると、開幕戦で野手として先発し、最初の10試合以内に投手として先発登板するのは、1919年のベーブ・ルース以来99年ぶり。
青く澄み切った空の下、歓声とともに登ったメジャー初のマウンド。待望の時が訪れたはずなのに、大谷は落ち着いていた。「(日本とは球場全体の)雰囲気が違った。楽しかった」。一回、相手の1番打者に対して選んだメジャー第1球は直球。96マイル(約154キロ)でストライク。その打者を空振り三振に仕留め、大谷の「二刀流」大リーグ編のストーリーが幕を開けた。
大谷は岩手・花巻東高時代から「一流の選手になりたい」と目標を掲げ、大リーグ移籍を決断すると同時に、それは「世界一の選手になりたい」に変わった。ただ、高みを目指すばかりにリスクを取って、失敗したこともある。日本ハムに入団してから2年がたったころか、大谷はより強い打球を飛ばすため、ウエートトレーニングに取り組んだ。上半身を徹底的に鍛えた。だが、その大きくなった筋肉により、投球フォームのバランスを崩して制球がばらつく、悪い影響が出た。
しかし、つまずいても、それを糧に成長するのが、大谷のすごさ。肉体の作り方を見直し、パワーアップとバランスを両立させた。2016年には投手で10勝4敗、防御率1・86と結果を出し、打者でも22本塁打をマーク。日本のプロ野球史上初めて投手と指名打者部門で同時にベストナインに選出される偉業を成し遂げた。
100年を超える長い歴史を誇る大リーグで投打「二刀流」に挑んだ選手には、「米国の国民的ヒーロー」と呼ばれるベーブ・ルースがいる。歴代3位の通算714本塁打を放ったヤンキースの主砲のイメージが強いが、主にレッドソックス時代の1914~19年に「二刀流」で活躍し、投手で163試合登板して94勝46敗4セーブ、防御率2・28の成績を残している。
大谷は言う。「(ルースは)僕の中では神様と同じぐらいの存在。野球をやる上では近づいていきたい」。だから、初登板初白星にも感慨に浸ることはない。「『ようやくここまで来た』というよりも、『始まった』という感じが強い」。伝説の男の背中をみながら、メジャーの第一歩を踏み出した。【岸本悠】