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スイスに学ぶ危機管理

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北海道地震では大きな被害が出たが、 とくに全道停電(ブラックアウト)という事態は深刻な問題を突きつけた。 今日、 9月8日(土)現在で、 99%は停電から復旧したというが、 あらためて電気の 有り難さを認識させられた。 私は、 若い頃、 危機管理の 先進国であるスイスで生活した
北海道地震では大きな被害が出たが、とくに全道停電(ブラックアウト)という事態は深刻な問題を突きつけた。今日、9月8日(土)現在で、99%は停電から復旧したというが、あらためて電気の有り難さを認識させられた。
私は、若い頃、危機管理の先進国であるスイスで生活したが、ときには、日本人とスイス人の意識の違いに驚いたものである。スイスは、ドイツ、フランス、イタリア、オーストリアなど大国に囲まれる中で、アルプスという天然要塞に加えて、中立主義、国民皆兵などで、安全を守ってきた。
一朝有事の場合、高速道路の中央分離帯を近隣の住民が撤去し、滑走路に変える。高速道路のトンネル壁内部にはシェルターがあり、そこに収納されているミラージュ戦闘機が現れ、飛び立っていく。
高速道路を作る際に、日本では居眠り防止のためになるべくカーブを多くするが、スイスでは、滑走路とするために長い直線を確保しようとする。このような危機管理の発想を、日本人全体が持たねばならない。敵の侵略にも自然災害にも負けない国作りは、日本人の課題である。
さらに、ハードに加えて、ソフト面での防災対策が重要である。危機管理で、政府の省庁の縄張りがあるのは困る。
私の経験を振り返ると、自然災害のときには、厚労大臣も出動する。それは、上水道の担当をしているからである。もちろん医療活動などで現場を支援したりするが、省庁分担については、厚労省は上水道である。下水道は国土交通省の管轄である。
実際には、地方自治体が両方を現場で管轄するが、霞が関では分かれたままである。水一つとっても、国家的に一元的管理のシステムにはなっていない。
危機管理という視点では、首都機能の移転、道州制など、統治システムの改善もまた、大きな課題である。スイスのような連邦国家は、東京一極集中型の日本にはない強みがある。つまり、集中より分散である。
今回の北海道の停電は、集中型システムの問題が露呈したものであり、分散型システムのメリットも考えたほうがよい。政治行政と同じである。
スイスのパンは世界一まずいという。それは、とりたての小麦は備蓄に回し、備蓄していた古い小麦を使ってパンにするからである。日本式に翻案すると、新米は備蓄して、古米を食べるといった感じであるが、有事用の備蓄をいかに重要視しているかということを示したエピソードである。

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