モデルのトラウデン直美さんは、昨今の環境問題をめぐる空気感について「意識高いと思われがち。もっと普通の会話として話せる空気感を作りたい」と語った。
慶應大学に在学中で、モデルやタレントとして活躍するトラウデン直美さん。専属モデルを務めるファッション雑誌「CanCam」では、SDGsについての連載を持っている。「環境省サスティナビリティ広報大使」でもあり、日頃から環境課題や社会課題についての発信をしている。 1月26日、ハフポスト日本版の生配信番組「ハフライブ」(ファッションから考えるSDGs「新・ていねいな暮らし」)に出演。気候危機の専門家である江守正多さんや、ファッションブランドのサプライチェーン監査などを行っている青沼愛さんらと一緒に、サステナブルなファッションや今後の“買い物”について考えた。番組中は、視聴者からのコメントにも答え、環境問題に関するジレンマについて語った。ジレンマ①“意識高い”と言われる 「これは、環境に配慮した商品ですか?」と店員に尋ねることで、店側の意識も変わっていくはずーー。 トラウデンさんが、環境問題について話し合う政府の会合で提案したこの内容には、多くの批判が寄せられた。 本人は、どう受け止めていたのだろうか? トラウデンさんは、「SNSで私の発言が話題になっていることは後から知って驚いたのですが…」と前置きした上で、しっかりとした口調で話し始めた。 「もしかしたら別の言い方ができたんじゃないかなって後になって思いました。例えば『環境に配慮した商品はありますか?』っていう聞き方だったら、また違った反応だったのかなとも思います」 感じたことを冷静に振り返りつつ、発言の真意こう語る。 「言いたかったのは、環境問題をもっと普通の会話として話せるようになったらいいよね、と言うことです。大学に行っているなら友達同士で『最近良い商品知らない?環境に配慮しているもので』っていう会話が、もっと普通になればいいなって」 環境問題の話になると、どこか普通の会話とは違う雰囲気になってしまう…。日頃から関心があり発信したいテーマだからこそのジレンマがあるという。 そんなトラウデンさんに対して、江守さんは「応援したい」と語り、こう続けた。 「環境問題に興味を持った人が、自分の生活をエコにするだけで満足してしまうと、一人分のエコでしかないわけですよね。 だけど、“自分は環境問題に興味を持っていて、もっと社会がこうなったら良いんだ”という思いを込めて店員さんに聞いたりすることで、最終的には社会のシステムが変わっていく。それを目指したメッセージを発信することは、すごく大事だと思う」 トラウデンさんは「すごく嬉しいです」と応え、「一人が100やるよりも、100人が2、3とやれば、200歩、300歩とちょっとずつ広がる。そいういうコミュニケーションが取れる環境づくりができたらいいですね」と今後も前向きに発信していきたいと語った。 ジレンマ②完璧じゃなきゃダメなの? World Wide Views on Climate and Energy(2015年)の調査によると、環境問題に配慮することは、日本人にとって負担感が増す、というデータもある。 世界市民会議「気候変動とエネルギー」の調査によると、日本では、気候変動対策を自分たちの生活の質を高めてくれるものだとして、肯定的に受け止める人が他の国や地域と比べて極端に少ない。 このデータについての意見を聞かれたトラウデンさんはー。 「(日本人は気候変動対策を)真面目に完璧にやらなければいけないという思いがあるから、負担に感じてしまうのかもしれません。 私自身勉強中で、他にはあんなことができるかな、これだったら楽しそうだから私もできるな、くらいの気持ちでやっているんですよね。こんなこと言ったら『じゃあ言うな』って言われるかもしれないですけど…」 環境問題だけに限らず、何かを発言することに対して、どこか完璧さを求めるような社会の雰囲気がある。そう感じているのはトラウデンさんだけではない。 アパレル企業のコンサルを行う青沼さんは「日本の企業も同じことを感じている」と言う。 「(投資家の人たちは)企業にもっと取り組んでいることを発信して欲しいと思っているんですけれど、『完璧じゃないから出さない』と言う日本企業はとっても多いです。 何も言わないと何もやっていないように見えてしまうので、0か100かではなくて、少しづつやっていることを出してほしいですよね」 ジレンマ③エシカル商品は高い・・・ 番組中、視聴者からは「オーガニック商品や環境に配慮した商品は高い」と指摘するコメントも届いた。 トラウデンさんも「本当にそうなんですよね。私も困っていて…お金がかかるなと。できる範囲でやってはいるんですけど…」と共感。その上で、「関心を持って使う人が増えれば、“規模の経済”で値段も少しづつ下がってくるのでは」と希望を語った。 青沼さんも「海外では、きちんとエシカルな商品にマーケットがあると分かると、そこに向けた商品も多くなってきて、価格も下がると言う事実はあります」と話す。 お気に入りの1着をいかに長く楽しむかー。トラウデンさんは「リメイク」を提案する。 「ファッションは楽しいことですし、人生を豊かにしてくれる面もあるから、私はその業界で働いている分、同じ服をずっと着ているだけなのはやっぱり寂しいなと思います。今は技術も進んでいるので、工夫や新しい技術で、服のあり方は変えられると思うんですよね」 「とりあえずやってみるか」軽い気持ちでいい 番組の最後、「とりあえずやってみるか、という軽い気持ちでいいと思います」と語ったトラウデンさん。 「『あ、楽しい』って思えたことをやってみる。あとは、心地よさを求めていきたいなと思います。身につけているお洋服がどういう経緯でここにあるのか、自分が知っている心地の良いものを周りに集めていく、そういう“ていねいな暮らし”をしていきたいですね」 <トラウデン直美さん> 1999年4月21日生まれ。京都府出身。慶應義塾大学法学部3年在学中。 「2013ミス・ティーン・ジャパン」でグランプリを受賞。雑誌『CanCam』史上最年少専属モデルとして13歳でデビュー。現在は「トラウデン直美と考える 私たちと『SDGs』」を連載中。情報・ニュース番組のコメンテーターとしても活躍しており、 BSテレ東「日経プラス10」、BS-TBS「スイモクチャンネル」、ディスカバリーチャンネル「クリエイターとその愉快な仲間たち」にレギュラー出演中。 【番組アーカイブはこちら】 ハフポスト日本版の生配信番組 #ハフライブ ファッションから考えるSDGs「新・ていねいな暮らし」 ▶︎YouTube https://www.