地域外から来た人の多くが「甘い」と感じる九州のしょうゆ。そのしょうゆを熊本市で150年以上造り続けてきた「フンドーダイ」が、2月6日を「26=煮る」の語呂にちなんで「煮物の日」として記念日登録し、特設ウェブサイトで煮物文化について発信する取り組みを始める。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増える中、老舗し …
地域外から来た人の多くが「甘い」と感じる九州のしょうゆ。そのしょうゆを熊本市で150年以上造り続けてきた「フンドーダイ」が、2月6日を「26=煮る」の語呂にちなんで「煮物の日」として記念日登録し、特設ウェブサイトで煮物文化について発信する取り組みを始める。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増える中、老舗しょうゆメーカーの狙いとは。 フンドーダイは、約400年前から創業家が造り酒屋と両替商を営んでいたが、1869(明治2)年にしょうゆ醸造業に転換。いっぷう変わった社名は、両替商時代に貨幣の重さを量るために使っていた「分銅」と、創業家・大久保家の「大」の字に由来する。 熊本県内の市販しょうゆでは4割近いシェアがあり、多くのスーパーなどにはフンドーダイのしょうゆやみそが並ぶ。一方、人口減などで国内のしょうゆ消費量は減少。同社は2019年に創業150年を迎えた際、基礎調味料会社として中長期的に成長していくため「食文化の発信」をテーマに掲げた。 中でも注目したのが煮物だった。同社は約15年前に九州特有の甘口のしょうゆをベースにした「煮物調味料」を開発。手軽に幅広い料理を作れるとあって年々売り上げを伸ばし、九州地区で約4割のシェアを誇る。九州から東京などへ移り住んだ人たちからも「ふるさとの味が懐かしい」と通販で多くの注文が入る。 人気の理由はベースのしょうゆ。同社は150年受け継ぐ発酵技術で、市販するしょうゆのもとになる「生揚(きあ)げしょうゆ」から自社で造るこだわりを持っている。そうすることで味のバランスが取れたしょうゆができ、食材の味を引き立てる煮物調味料もできた。 そもそも、九州のしょうゆはなぜ甘いのか。「鎖国していた江戸時代、オランダから長崎に持ち込まれた砂糖の文化が根付いたから」など諸説あるが、フンドーダイの山村脩(おさむ)社長(52)は「甘さは、うまさの表現の一つ。九州の食材や気候、風土に合う味として甘くなったのでは」と語る。コロナ禍で業務用調味料が苦戦する一方、家庭で料理をする人は増えており、昔ながらの和食である煮物をPRする好機と捉えている。 「『煮物の日』の取り組みを通じて熊本の味、九州の味を東京や海外の人にも知ってもらいたい」と山村社長。取り組みの第1弾として6日午前10時、特設サイト「しあわせ、煮物時間。」( https://nimono.