Home Japan Japan — in Japanese 「入管収容所」演劇で闇にかみつく ウィシュマさん入管死を題材

「入管収容所」演劇で闇にかみつく ウィシュマさん入管死を題材

147
0
SHARE

Array
「入管は、人権侵害につながる諸問題が詰まったブラックボックスではないか」。そんな疑念に突き動かされた劇作家・演出家の中津留章仁(なかつる・あきひと)さん(49)が新作を書いた。 東京都内で上演が始まる「入管収容所」。背景にあるのは、スリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で死亡した問題だ。何を訴えたいのか。その思いを聞いた。
 劇の主な舞台は、入管収容施設。導入部は、体調を崩した収容者の病院搬送をめぐり、施設の幹部や現場担当者、救急隊員、外国人収容者らが激しいやり取りをする場面を含む。
 「(体調悪化は)演技の可能性もある」「ガラ(収容者の蔑称)たち」「抵抗するか!」――。ウィシュマさんの死亡に関する出入国在留管理庁の報告書や、毎日新聞が報じてきた元入管職員らの証言、警備官が収容者を力で押さえ込む映像などを思い起こさせる表現がちりばめられ、見る側はどきりとする。人権侵害が指摘される入管の影の部分と、収容者のために悩む現場や支援者らの光の部分が交錯する印象だ。
  上旬、都内の古びた建物で中津留さんが主宰する「TRASHMASTERS」や他劇団の俳優らが集まった稽古(けいこ)を見た。演技の後、中津留さんと役者たちのやり取りが始まる。「もっと彼(演じる役)を追い込まなくちゃ」「自分の主張をしろということ?」「(他の登場人物を)どう説得するか考えすぎているんだと思う」。問いかけと思考、咀嚼(そしゃく)を通じ表現がブラッシュアップされていく。
 その時々の社会問題を扱う作品群を生み出してきた中津留さん。従軍慰安婦を象徴する少女像などが展示され、抗議が殺到して一時中止になった の国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」などを題材に、22年には「出鱈目(でたらめ)」を上演。「権力にかみつく芝居は得意なんです」と笑う。これまでに毎日芸術賞の千田是也賞や、紀伊国屋演劇賞も受賞した。収容施設の外国人にも面会
 中津留さんは報道でウィシュマさんの死を知り、「次はこれだ」と思い定めたという。生前のウィシュマさんに面会していた関係者から話を聞き、入管庁の報告書や関連書籍にも目を通した。さまざまな事情があって収容されている外国人らの心や状況を知ろうと、俳優らと収容施設に面会にも行った。その俳優の一人が、劇中でウィシュマさんをモデルにした「ニシュワ・サンダルワン」を演じる宮越麻里杏(まりあ)さん(45)だ。
 「面会室のアクリル板1枚を挟んで、同じ人間なのに向こうは収容され、こちらは自由に動ける。この違いは何だ、という思いがしました」と振り返る。
 開会中の通常国会には、出入国管理及び難民認定法(入管法)改正案が再提出される見通しだ。改正法案は、強制送還対象者が帰国を拒んだり、入管施設での収容が長期化したりしている問題の解消を目指す内容とみられ、法務省が早期成立を目指している。収容者の支援団体や入管制度に詳しい弁護士ら反対する人たちは、本国で迫害されるなどの懸念があって「帰れない人たち」を危険にさらす内容として廃案を求める。
 日本に対しては、国連自由権規約委員会が 、難民などを危険な場所に戻さない「ノン・ルフールマン原則」の尊重や、入管収容を限定的、最短にし、裁判所の判断を受けることを勧告した。
 法案に反対する立場の中津留さんは言う。「日本人が動くことで国の政策は変わる。彼ら(外国人)は選挙権がないから、僕らがやらなきゃいけない。演劇を通じて変革の一端を担えるよう頑張りたい」
 「入管収容所」は、 17~ 東京都墨田区の「すみだパークシアター倉」で上演。詳細は「TRASHMASTERS」のホームページ(http://www.

Continue reading...