Home Japan Japan — in Japanese 248年の歴史誇る米国民主主義の明白な自滅の兆し【特派員コラム】

248年の歴史誇る米国民主主義の明白な自滅の兆し【特派員コラム】

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イ・ボニョン|ワシントン特派員

「5千年の歴史」を誇る韓国人は、米国の歴史の短さを見下す傾向がある。しかし政治体制の存続期間から考えると、話は変わってくる。248年にも及ぶ米国の民主共和政は、世界で最も歴史が長い。米国の独立を単なる独立とは言わずに独立革命と呼ぶのも、それだけ大きな意味があるからだ。

だが、政治体制もまず古いものから崩壊して消え去るのが道理なのだろうか。ドナルド・トランプの大統領当選で、米国民主主義は248年の歴史で最も大きな危機に見舞われているといわれる。もちろん、多くの票を得たからこそ当選したわけだが、彼の違法行為、選挙運動のあり方、支持者たちの動機、米国政治の方向性を考慮すると、危機論が十分に高まるだけのことはある。

トランプの政権獲得の秘訣は、アドルフ・ヒトラーに似ているところがある。ヒトラーはユダヤ人嫌悪を、トランプもメキシコ国境を越えてくる外国人に対する嫌悪を積極的に利用した。外部の人たちが自分たちの居間にまで土足で入り込んでくるだろうという妄想に近い扇動で不安心理を刺激したのも同じだ。外部の人々を犯罪者、特に性犯罪者として描写することは、常に集団ヒステリーを最大化させる方法だ。ヒトラーは にミュンヘンでクーデターを起こして逮捕されたが、それがむしろ彼の名声を高めた。トランプも「1・6議事堂襲撃」という内乱と見なすに足る事件を扇動した。しかしトランプ処罰の試みは支持者を団結させ、選挙資金が殺到した。トランプの秘書室長を務めたジョン・ケリーは、トランプはドイツの将軍たちがヒトラーに示した忠誠心をうらやんだと証言した。

エーリッヒ・フロムはナチズムの勃興の背景を分析した『自由からの逃走』で、当時のドイツの中下流層が主導した国家主義的な怒りは「社会的劣等感を国家的劣等感に投影した一つの合理化だった」と論じた。今の多くのトランプ支持者に当てはめても成り立ちそうな診断だ。彼らはグローバル化や情報化に対する反感と地位が下落する可能性に対する不安を、「米国を再び偉大に」を叫ぶトランプを通じて表出している。

トランプの右腕となったイーロン・マスクはどうか。選挙の際に抽選で一日に1人の有権者に100万ドル(約14億ウォン)をばらまいたことは、奇抜にして奇怪ではないか。古代ローマの政治家たちが民衆の歓心を買い、彼らを無気力にするために提供したというパンとサーカスが、似たような例だろうか。アリストテレスの述べた、民主政治の衆愚政治への堕落を示す兆候かもしれない。

最も深刻なのは、民主主義を破壊する罪を犯した人物を民主主義体制の主権者たちが自分たちの指導者として改めて立てたということだ。7500万人を超える米国人が犯人隠避罪を犯したわけだ。だから、米国の民主主義は自滅の道に足を踏み入れたと診断されてもおかしくない。

米国民主党の政治家たちは、トランプの暴走に対して「法の上には何人も存在しない」だとか「けん制と均衡」とよく言っていた。別の言い方をすれば、法治主義と三権分立だと言える。今回の選挙で共和党は、ホワイトハウスと上下両院の多数をいずれも獲得した。連邦最高裁判所は、トランプが第1次政権で最高裁判事を3人も指名したため、6対3で保守へと大きく傾いている。特定勢力が立法、司法、行政権力を事実上すべて掌握するとも考えうる。

今や法の上に存在する人間が誕生し、けん制と均衡は崩壊した。回復は容易ではなさそうだ。

イ・ボニョン|ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.

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