[ポートモレスビー 18日 ロイター] – パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は18日、 同会議として初めて首脳宣言で合意できないまま閉幕した。 貿易や投資を巡る米
[ポートモレスビー 18日 ロイター] – パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は18日、同会議として初めて首脳宣言で合意できないまま閉幕した。貿易や投資を巡る米中の深い溝が協力を阻んだ。
米国や西側同盟国が中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗するインフラ整備構想を打ち出したことも、太平洋地域における米中の覇権争いを際立たせる結果となった。
議長国パプアのオニール首相は閉幕に当たり開いた記者会見で、加盟21カ国のどの国が合意できなかったかとの質問に対し、「2つの大国だ」と答えた。
また、首脳宣言で世界貿易機関(WTO)やその改革の可能性に言及するかどうかが合意の障害になったと説明。「APECにはWTOに関する権利はない。それは事実だ。こうした問題はWTOでの提起が可能だ」と述べた。
APECは1989年、多角的貿易体制の維持を目的に発足したが、太平洋地域における中国の影響力拡大や米国の関税による地域の緊張や分断を背景にこうした秩序が崩れつつあることが浮き彫りになった。
APECのウェブサイトによると、首脳宣言は1993年の第1回会議から毎回発表してきた。
オニール首相は、首脳宣言に代わり議長声明を出す考えを示した。発表のタイミングは明らかでない。
今回の首脳会議はトランプ米大統領やロシアのプーチン大統領が欠席。米国からはペンス副大統領が代理で出席した。
中国の習近平国家主席は15日に現地入りし、地元当局者の歓迎を受けた。16日には太平洋諸国の首脳と会談し、一帯一路構想をアピールした。
これに対し、米国と日本、オーストラリア、ニュージーランドは18日、パプアに安定的な電力やインターネットを提供する17億ドルの計画を発表した。
パプアのパト外務・貿易相はロイターに対し、多角的貿易の将来を巡り合意できなかったと話した。
中国の代表団として参加した経済担当高官のWang Xiaolong氏は首脳宣言で合意がまとまらなかったことについて、「特定の2カ国の間で行き詰まったわけではない」とし、大半の加盟国は多角的貿易制度の維持を確認し、WTOの健全で適切な機能を支持したと強調。「率直に言って、われわれはこうした協議の極めて初期段階にあり、今後の進め方に関する考え方は国によって異なる」と述べた。
協議に関わったある外交筋によると、中国の王毅国務委員兼外相が声明草案に盛り込まれた2つの段落に異論を示したことで米中間の緊張がいっそう高まったという。
ロイターが確認した草案によると、1つの段落は「不公正な貿易慣行」への反対とWTO改革に言及、もう1つは持続可能な開発に関する内容だった。
この外交筋は「(米中が)激しく対立し、議長は溝を埋める選択肢を見いだすことができなかった」とし、「WTOへの言及が特定の国による不公正な貿易慣行への非難となっていることに中国は反発した」と述べた。
ペンス米副大統領は17日の演説で、中国が態度を改めるまで中国製品に対する米国の関税を変えない考えを示した。また、中国の一帯一路構想を念頭に、主権を脅かすような融資を受けてはならないと警鐘を鳴らし、「米国は締め付けるようなベルト(帯)や一方通行の道路は提供しない」と訴えた。
18日には記者団に対し、米中の問題は「貿易慣行から始まり、関税、クオータ(輸入枠)、技術移転の強要、知的財産権の侵害、さらには航行の自由や人権まで及ぶ」と述べた。
*内容を追加します。