全国の主ながん専門病院でがんと診断された人のデータをもとに、小児がんの患者や「AYA世代」と呼ばれる10代後半から30代のがん患者の5年後の生存率をがんの種類別に初めて集計した結果を国立がん研究センターが発表しました。
例えば、白血病の小児がん患者の5年生存率は88.0%などとすべての年代の患者のデータと比べると高かったものの、専門家はより長期の経過を調べる必要があるとしています。
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全国の主ながん専門病院でがんと診断された人のデータをもとに、小児がんの患者や「AYA世代」と呼ばれる10代後半から30代のがん患者の5年後の生存率をがんの種類別に初めて集計した結果を国立がん研究センターが発表しました。 例えば、白血病の小児がん患者の5年生存率は88.0%などとすべての年代の患者のデータと比べると高かったものの、専門家はより長期の経過を調べる必要があるとしています。 国立がん研究センターは、2014年までの2年間に全国のがん拠点病院などでがんと診断された人のうち、0歳から14歳の患者や、15歳から39歳の「AYA世代」の患者について、がんの種類別に5年後の生存率を初めて分析しました。 その結果、小児がんの5年後の生存率は、▼脳腫瘍で74.6%、▼白血病で88.0%、▼胚細胞腫瘍で96.6%などとなっています。 また、AYA世代のがんでは、▼乳がんが90.0%、▼子宮がんが89.0%、▼脳腫瘍と脊髄腫瘍が84.3%などとなっています。 一方、すべての年代の87万人余りのデータの分析からは、5年後の生存率は全体で67.5%でした。 国立がん研究センターは、生存率のデータはあくまで傾向を示すもので患者一人ひとりに直接当てはまるものではないとして、主治医と治療方針を相談する際などの参考にしてほしいとしています。 調査に協力した国立成育医療研究センターの松本公一 小児がんセンター長は「若い世代のがん生存率は、すべての年代のものに比べて高くなっている。ただ、子どもを含めた若いがん患者では、治療後も長い期間、さまざまな合併症などの問題を抱える人が多いので、今後10年、20年先といったより長期の経過についても調査しなければいけない」と話しています。 小児がん患者 種類ごとの5年生存率 国立がん研究センターが発表した、0歳から14歳の小児がん患者のがんの種類ごとの5年生存率は以下のとおりです。 分析対象となった患者数が多い順に示します。 ▼白血病:88.0%(患者の平均年齢:5.7歳) ▼脳腫瘍:74.6%(患者の平均年齢:7.3歳) ▼リンパ腫:90.7%(患者の平均年齢:8.0歳) ▼胚細胞腫瘍:96.6%(患者の平均年齢:8.3歳) ▼神経芽腫:78.6%(患者の平均年齢1.9歳) ▼軟部腫瘍:79.3%(患者の平均年齢:7.5歳) ▼骨腫瘍:70.5%(患者の平均年齢:10.9歳) ▼網膜芽腫:95.4%(患者の平均年齢:1.1歳) ▼肝腫瘍:87.1%(患者の平均年齢:2.8歳) ▼腎腫瘍:93.8%(患者の平均年齢:3.9歳) ▼その他がん:91.0%(患者の平均年齢:11.2歳) 「AYA世代」 種類ごとの5年生存率 15歳から39歳の「AYA世代」のがん患者の種類ごとの5年生存率は以下のとおりです。 分析対象となった患者数が多い順に示します。 ▼乳がん:90.0% ▼子宮頸部・子宮がん:89.0% ▼甲状腺がん:99.2%。 ▼脳・脊髄腫瘍:84.3%。 ▼大腸がん:74.8%。 ▼胚細胞性腫瘍など:95.0%。 ▼リンパ腫:90.1%。 ▼白血病:75.0%。 ▼胃がん:61.7%。 ▼頭けい部のその他のがん:82.5%。 ▼軟部肉腫:73.9%。 ▼性腺のがん:79.0%。 ▼肺・気管支のがん:58.5%。 ▼腎がん:93.5%。 ▼黒色腫・皮膚がん:87.8%。 ▼すい臓がんなどの消化器系のがん:49.6%。 ▼骨・軟骨腫瘍:70.5%。 ▼肝内胆管がん:51.8% などとなっています。 「サバイバー生存率」 初めてまとめる 今回の集計では、がんの診断から年数がたっている人のその後の生存率が「サバイバー生存率」として初めてまとめられ、生存率が低くなっている種類のがんでも、治療を乗り越えた人ではその後の生存率が高まる傾向があることがわかりました。 これまで出されてきた診断された時点からの生存率は、がんの種類によっては早期発見や治療が難しく低くなることがある一方、診断から年数がたった人の生存率は高くなる傾向があると考えられることから、国立がん研究センターは患者の生きる希望につながるのではないかとして、今回初めて、診断の1年後から4年後の時点からの生存率を分析しました。 それによりますと、例えば非小細胞肺がんの場合、2014年までの2年間に診断された人の▼診断から1年後の生存率は73.