電通と合意書を締結し記者会見する、過労自殺した元電通社員高橋まつりさんの母幸美さん=20日午後、厚生労働省
大手広告代理店電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=が過労自殺した問題で、電通と高橋さんの遺族が20日、再発防止などに関する合意書を交わした。電通側が全面的な責任を負うことを前提に慰謝料などの解決金を支払い、再発防止策の実施状況を定期的に報告するなどとした。石井直社長は東京都内で行われた合意書調印の際、改めて遺族に謝罪した。 高橋さんの母幸美さん(54)と代理人の川人博弁護士が同日、記者会見して明らかにした。幸美さんは「二度と同じ悲劇を繰り返さないよう改革に向かってほしい」と述べた。 川人弁護士によると、電通側と昨年2月以来、話し合いを続けてきた。再発防止策は、労働時間を正確に記録して長時間労働を削減することや、深夜の懇親会、反省会の改革など、実施済みのものも含む18項目。新入社員の長時間労働を特に抑制する措置やハラスメント防止対策も盛り込まれた。 電通が今後、過労やストレスで高橋さんが死亡したことを社内広報を通じ全従業員に知らせることや、川人弁護士を講師とした管理職への研修会を開き、幸美さんも出席することも決めた。毎年12月1日には、再発防止策の実施状況を遺族側に報告するとした。 高橋さんは2015年12月に過労で自殺し、昨年9月に労災認定された。東京労働局は同12月、法人としての電通と上司を東京地検に書類送検し、石井直社長は辞任を表明。今月23日付で山本敏博常務が後任の社長に就任する。 電通の話 改めて高橋さんの冥福を深く祈り、遺族に心よりおわびする。二度と同じような出来事が起こらないよう、全力で改革を進めていく。(2017/01/20-20:53)