【平昌=桜井紀雄】 2018年2月9日に開幕する平昌冬季五輪でスキー競技が行われる — Yahoo!ニュース(産経新聞)
産経新聞 2/9(木) 8:08配信
8日、韓国・平昌の五輪記念イベントに登場した雪像と町並み (納冨康撮影)(写真:産経新聞)
【平昌=桜井紀雄】2018年2月9日に開幕する平昌冬季五輪でスキー競技が行われる韓国北東部、江原道平昌郡の竜平リゾートでは8日、家族連れや学生らでにぎわっていた。日本でもブームとなったドラマ「冬のソナタ」のロケ地としても知られる。近くにはスキージャンプ台がそびえ、ボブスレー会場も急ピッチで工事が進む。
「アジアでこれだけの設備があるのは日本を除いてないはずだ」。平昌で生まれた李廷桂さん(61)は胸を張る。一時は長野との分散開催案まで浮上したが、競技場の完成率が96%を超えるまでになった。
地元自治体のトップ、沈在国郡長は「五輪は住民にとって30年来の夢だった」と語る。10年、14年の五輪にも立候補したが、落選し、3度目の正直。国民にとって待望の初の冬季五輪となるはずだった。
会場への玄関口となる横渓地区。バスターミナルは老朽化が激しく、くすんだ看板も目立つ。ひなびた田舎町の感が拭えない。ガタガタの道路をスキー客らの車が行き交う。景観を損なう電線の地中埋設工事が中断したためだ。郡は年内に工事を終えるとしているが、飲食店を営む男性(39)は「砂ぼこりも舞うし、五輪に間に合うのか」と不安を口にする。
「住む場所がなくなった!」と書いた横断幕を掲げた建物もある。メーン会場への道を通すため、立ち退きを迫られたためだ。李さんも名物のスケトウダラ料理を出す人気の店をたたむことになった。補償に不満があるが、「国家的事業じゃどうすることもできない」とため息を吐いた。
地元の人々が一様に顔を曇らせる話題がある。朴槿恵大統領の友人、崔順実被告の事件だ。五輪利権にも関与したと報じられ、懸念が広がった。最新の世論調査で「平昌五輪に関心がある」と答えた人は48%にとどまった。沈氏も「事件で国民の熱気が冷めたのは事実だ」と認める。「関心がない」と冷ややかに見る住民もいる。1年後に開幕が迫ったいま、9割以上の国民が支持した開催決定時の熱意は感じられない。
最終更新:2/9(木) 8:08