放送倫理・ 番組向上機構(BPO)の 放送倫理検証委員会が発足して10周年となるの を記念するシンポジウムが22日、 都内で開かれた。 「放送の 自由と自律、 そしてBPOの 役割」 をテーマに、 出席者らが意見を交わ…
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が発足して10周年となるのを記念するシンポジウムが22日、都内で開かれた。「放送の自由と自律、そしてBPOの役割」をテーマに、出席者らが意見を交わした。 BPOはNHKと日本民間放送連盟(民放連)が設置した第三者機関。三つの委員会で構成され、放送倫理検証委は2007年5月、関西テレビ「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造(ねつぞう)問題を受けて、当時の「放送番組委員会」を発展させる形で発足した。 BPOの浜田純一理事長(前東大総長)は「自由と自律という言葉は大変美しいが、実際にどう実現していくのかは大変な課題。苦闘することで得られた自由と自律の貴重さを、今日の議論の中で感じとって頂ければ」とあいさつ。パネルディスカッションでは放送関係者や大学教授らが、萎縮が指摘される放送界の現状について議論した。 テレビ朝日の田端正・報道局コメンテーター室長は政治部長だった06年当時、選挙報道で局幹部が非常に萎縮していると感じたとし、「05年の郵政選挙であまりにも盛り上がりすぎた。自民党のコップの中の嵐に過ぎないものを、さも世の中全体の出来事のように報道してしまった反動が06、07年くらいにはあった」と振り返った。 委員長代行で映画監督の是枝裕和さんは、放送局が萎縮する背景として「60、70年代には、電波は社会の共有財だという意識が、作り手側にも見ている側にも公権力の側にもあった。今はそうした意識が後退し、お金を出しているスポンサーと、免許を出している公権力側が、電波は我々のものだと思っている」との考えを示した。 会の最後に弁護士の川端和治委員長があいさつし、「10年たって、委員会の存在がいかなるものかようやく知られるようになったし、自分自身も役割を自覚できるようになった。今後も放送の発展のために力になれるよう頑張りたい」と述べた。(佐藤剛志)