経済産業省と財務省、 金融庁は9日、 国の 制度融資で不正に貸し付けをしていた政府系金融機関の 商工中金に対し、 業務改善命令を出した。 全国的に行われていた書類の 改ざんや本部による不正の 隠蔽(いんぺい)を問題視したもの で、 商工中金に対する行政処分は1936年の 設立以来、 初めて。
経済産業省と財務省、金融庁は9日、国の制度融資で不正に貸し付けをしていた政府系金融機関の商工中金に対し、業務改善命令を出した。全国的に行われていた書類の改ざんや本部による不正の隠蔽(いんぺい)を問題視したもので、商工中金に対する行政処分は1936年の設立以来、初めて。
改善命令では、一部にとどまっている調査対象を全体へ拡大することや経営陣の責任の明確化を要求。商工中金は6月9日までに再発防止に向けた業務改善計画を提出し、対策の進捗(しんちょく)状況を毎月報告する。
宮本聡中小企業庁長官は9日、商工中金の安達健祐社長を経産省に呼び、業務改善命令書を手渡した。宮本長官は「徹底的に問題を洗い出して、根本原因を特定してほしい」と要請。安達社長は「命令を重く受け止めて調査を継続し、全容解明に努める」と応じた。
不正に使われたのは、震災や為替変動などの影響で業績が悪化した中小企業が対象の危機対応融資制度。第三者委員会の調査によると、融資件数を増やすため候補企業の業績が実際より悪くなったように書類を改ざんし融資条件をクリアさせていた。不正は816件、商工中金が融資のために国から不正受給したのは判明分だけで2億1300万円に上る。【小川祐希】