【カンヌ(フランス南部)時事】 第71回カンヌ国際映画祭の 長編コンペティション部門で最高賞パルムドールを獲得した是枝裕和監督は、 家族をテーマにした作品で高い評価を受けてきた。 受賞作「万引き家族」 でも、 犯罪でつながった「一家」 を通し、 人間の 絆とは何かをテーマに、 貧困など現代日本が抱える諸問題を浮かび上がらせた。 是枝監督によると、 作品の 着想を得たの は2016年ごろ。 年金詐欺事件や家族ぐるみで万引きをしていた親子の 話に、 問い続けてきた「親はどういう時に親になるの か」 という命題を絡めて物語を構成した。
【カンヌ(フランス南部)時事】第71回カンヌ国際映画祭の長編コンペティション部門で最高賞パルムドールを獲得した是枝裕和監督は、家族をテーマにした作品で高い評価を受けてきた。受賞作「万引き家族」でも、犯罪でつながった「一家」を通し、人間の絆とは何かをテーマに、貧困など現代日本が抱える諸問題を浮かび上がらせた。 是枝監督によると、作品の着想を得たのは2016年ごろ。年金詐欺事件や家族ぐるみで万引きをしていた親子の話に、問い続けてきた「親はどういう時に親になるのか」という命題を絡めて物語を構成した。 近年は「海街diary」などパーソナルな視点によるホームドラマを発表してきたが、今作では「家族と社会の接点から今の時代が見える」構図で作品を構成した。それは、世間から見捨てられた子どもたちを描いた初期作「誰も知らない」の視座に立ち戻ったものだったという。 渡仏前のインタビューでは「年を重ね、自分の側で明らかにいろいろなことが変わってきた。そのことを踏まえた上で、もう一度社会に視野を広げてみようと思った」と語っていた。もともとはドキュメンタリー演出家で、人間や社会に対する鋭い観察眼が今作にも生かされた。
撮影中のアクシデントを採用したり、俳優に脚本を渡さずに一部の撮影を行ったりする「是枝メソッド」は健在。演技経験の少ない子役だけでなく、ベテランからもみずみずしい演技を引き出した。一方で、撮影、照明のスタッフに新たな人材を起用するなど新たなチャレンジも。今後も「変わることを恐れずにやっていきたい」と言う。 同部門への参加は5回目。2004年の「誰も知らない」での柳楽優弥さんの男優賞を含め、3度目の受賞作でついに最高賞に輝き、名だたる名匠たちと並ぶ同映画祭の顔になった。(2018/05/20-05:13)