[フランクフルト 13日 ロイター] — 欧州中央銀行(ECB)は13日の 理事会で、 主要政策金利を予想通り据え置いた。 ECBは債券買い入れ策の 終了に関するガイダンスを小幅に調整したほか、 少なくとも来
[フランクフルト 13日 ロイター] — 欧州中央銀行(ECB)は13日の理事会で、主要政策金利を予想通り据え置いた。 ECBは債券買い入れ策の終了に関するガイダンスを小幅に調整したほか、少なくとも来年夏までは過去最低の金利水準を継続する見通しを維持した。
ドラギ総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。
<インフレ>
インフレは年内は現在の水準近辺で推移するとの予想を述べた。2019年と2020年の見通しは示した通りだ。
基本的にこれらの数字には2つの異なる要素が反映されている。われわれは原油価格は若干下落すると予想しているが、コアインフレは大幅に力強くなるとみている。その理由は経済の基調的な力強さと賃金の上昇だ。
名目的な賃金の伸びはドイツなどの国では高水準にある一方で、その他の国では低水準にある。それでも全般的には、基調的インフレがなお抑制されているにもかかわらず、域内を通して名目的な賃金の伸びは上向くと見ている。
この結果、2つの要素を反映するわれわれのインフレ見通しは中期的にわれわれの目標に達すると言える。
<トルコ、アルゼンチン>
新興国を巡る不透明性の高まりが、世界市場全体の不透明性を拡大させる要因となっていることは明確だが、トルコやアルゼンチンなどからのスピルオーバー(波及効果)はさほど大規模ではない。
<新興国からのリスク波及>
ユーロ圏における外需減速について言及するのであれば、ユーロ高の影響が要因となっている可能性がある。トルコリラ下落がユーロ高の主因であることについては認識する必要があり、理事会はこうした観点から、新興国からのリスク波及について討議した。
ただ、アルゼンチンとトルコでの動向を巡り、概ね大規模なスピルオーバーは見られない。
<イタリアの予算>
残念なことにイタリアの予算は幾分ダメージを引き起こし、国内の金利は上昇したが、他のユーロ圏諸国に大きなリスク波及は引き起こしていない。
<シャドーバンキング規制>
シャドーバンキング(信託会社など銀行以外の金融業態が行う金融取引、影の銀行)については、本来の銀行業から移行したものが数多くあり、銀行業と同様、強力な規制と監督を確実に行うことが次のステップとなる。
<EONIAの代替>
民間の作業部会は本日、ユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)の代替として、(ECBが新たに策定した基準金利である)ユーロ短期金利(ESTER)の利用を提言した。 ECBはこの動きを歓迎するとともに、円滑な移行を進める上で民間部門が中心的役割を担うことを明確にしておきたい。
<金融規制の「逆行」>
金融規制が緩和の方向へ逆行することに関し、ある種の恐れがある。欧州連合(EU)ではそうした危険性はない。むしろ銀行の力は増している。
<保護主義によるリスク>
どこまで高まるのか検証する必要がある。これは明らかにわれわれが検証する必要のあるリスクの1つとなっている。
<通商問題とECBの見通し>
世界的な生産に対する主要な不確実性の源は、保護主義の台頭に起因している。
現在のマクロ経済見通しはすでに発動された措置のみを反映したものになっている。現在の見通しには発表済み(だが未発動)の措置は反映されていない。
<改善が続く労働市場>
労働市場の改善が続いていることは、そのこと(経済の基調的な力強さ)を物語っている可能性がある。
最新の指標もかなり重要だ。雇用を巡る最新の指標によると、ユーロ圏では2013年以降920万人の雇用が創出された。賃金も上昇している。このため、われわれの金融政策スタンスは、われわれの(インフレ)目標に一致するものであると確信を持っている。
<再投資とツイストオペ>
保有債券の再投資について討議しておらず、いつ討議を行うかについても話し合っていない。ただ、理事会は年内あと2回開催され、11月もしくは12月に討議することになるだろう。
「ツイスト・オペ」もしくは、償還期限の異なる債券への再投資いずれについても討議していない。ただ、理事会がほぼ全会一致で、加盟国の出資比率に応じ債券を買い入れる「キャピタルキー」規定を引き続き指針とすることを確信している。
<潜在成長率上回る>
成長率がこのところ、潜在成長率を上回っていることを確認している。
<インフレの加速>
基調インフレは年内に上向き、中期的には緩やかなペースで上昇する見通し。
<インフレ見通し>
インフレ見通しを巡る不透明性は後退しつつある。
<基調インフレは抑制>
基調インフレを巡る指標は全般的になお抑制されてはいるが、これまでの低水準からは上昇している。
<成長に対するリスク>
ユーロ圏経済の成長見通しを取り巻くリスクはおおむね均衡していると、なお判断することができる。
<ECBは対応する準備を整えている>
理事会が設定する目標に向けインフレが持続的に移行していくことを確実にするために、理事会はあらゆる手段を適切に調整していく準備を整えている。
<保護主義>
保護主義の台頭、新興国市場の脆弱性、金融市場のボラティリティーを巡る不確実性はこのところ存在感を増している。
<大幅な刺激策の必要性>
域内の物価圧力を高め、総合インフレの中期的な進展を支援するために、大幅な金融刺激策がなお必要となっている。
<インフレ目標>
経済の基調的な力強さは、インフレは持続的にわれわれの目標に向かって収束し続け、純資産買い入れの緩やかな終了後も維持されるとのわれわれの確信を引き続き裏付けるものとなっている。
<裾野の広い景気拡大>
2018年9月の新たなスタッフ予想を含め、入手した情報により、ユーロ圏では裾野の広い景気拡大と緩やかなインフレ上昇が見られているとのわれわれのこれまでの見解がおおむね確認された。
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