北海道を未曽有の 大地震が襲った。 全道が停電し、 胆振地方を中心に道路や水道などライフラインが断絶して都市機能がまひした。 厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、 多数の 住民と連絡が取れなくなっている。 震度6強という経験の ない揺れに見舞われた道内は全域で混乱に陥った。
北海道を未曽有の大地震が襲った。全道が停電し、胆振地方を中心に道路や水道などライフラインが断絶して都市機能がまひした。厚真町では大規模な土砂崩れが発生し、多数の住民と連絡が取れなくなっている。震度6強という経験のない揺れに見舞われた道内は全域で混乱に陥った。
震源に近い厚真町では、町内の各所で大規模な土砂崩れが発生。山の斜面が広範囲に崩れて山肌がむき出しになっていた。住宅などの建物が崩れた土砂や樹木に押しつぶされるように倒壊。がれきまじりの土砂は道路や田畑を覆った。土砂崩れに巻き込まれた住宅には自衛隊員、消防隊員らが駆けつけ、重機を使って室内に閉じ込められたとみられる人の救出活動にあたった。
同町によると、富里、高丘、吉野の各地区が壊滅的被害を受けているといい、住民の救助活動を最優先して実施している。富里地区には30世帯74人、高丘地区は15世帯43人、吉野地区16世帯34人が居住しており、道警ヘリで吉野地区の住人12人を救助したが、5人が生き埋めになっているとの情報があり、関係者が被害状況の確認を急いでいる。
宮坂尚市朗町長は「今まで経験のない鬼気迫る揺れだった。関係機関の協力を得て、一刻も早く住民の救出にあたりたい」と話した。
吉野地区の南側の桜丘地区に住む無職の男性(68)は、自宅で就寝中、揺れを感じて跳び起きた。今まで経験したことのないような横揺れで、収まるまで妻と柱にしがみついているのが精いっぱいだった。停電で周りも真っ暗だったため、自家用車に避難。明るくなってから町内の避難所に移動したが、近くの裏山が崩れ、知人の家が埋まっているのを目の当たりにしたという。男性は「裏山が危険とは考えていなかった。こんなことは信じられない」と声を震わせた。
厚真町の西隣の安平町は、震度6強の揺れに見舞われた。
同町追分柏が丘のアルバイト、田中海斗さん(27)は自宅2階で就寝中、激しい縦揺れに襲われて跳び起きた。本棚やテレビを手で押さえたが、1、2分程度続く揺れに耐えられず1階に降りた。屋外に出てみると、自宅の外壁がはがれ、地割れも数カ所見つけた。共に暮らす母親にもけがはなかったが、停電や断水が続いているといい「自宅にいるのも不安なので、次に大きな余震が来たらすぐに近くの小学校に避難しようと思う」と話した。
町によると、町内では40代の女性が階段から落ちてけがをしたほか、60代の女性2人が顔にけがをして、病院に搬送された。厚真町まで結ぶ道路は土砂崩れで寸断。小・中・高校が臨時休校になり、子ども園では、停電や断水などで支障をきたしている家庭にいる幼児の受け入れ準備を進めている。
及川秀一郎町長は「これまで、震度5弱は経験したことがあるが、6強は初めて。対応は長期戦になる。コンビニエンスストアなどから避難物資の提供を受け、組織的に対応したい」と語った。【澤俊太郎、福島英博、服部陽】