米ロサンゼルス近郊の サウザンドオークスで7日夜、 多くの 若者が集まる深夜の バーがまた銃撃の 標的となり、 12人が犠牲になる事件が起きた。 一夜明けた8日朝、 バーにいて容疑者を目撃した人や近くの 住民らは、 凄…
米ロサンゼルス近郊のサウザンドオークスで7日夜、多くの若者が集まる深夜のバーがまた銃撃の標的となり、12人が犠牲になる事件が起きた。一夜明けた8日朝、バーにいて容疑者を目撃した人や近くの住民らは、凄惨(せいさん)な事件への恐怖を口々に語った。
大学生ホルデン・ハラーさん(20)は、友達に会うためバーを訪れていた。地元の若者に人気の店で、旧交を深める場だった。7日午後11時すぎ、店内で入り口の反対側にいたハラーさんは、店に入ってきた容疑者の男と目があった。
黒い服を着て、眼鏡をかけ、ひげをたくわえていた男は一言も発さず、「いきなり銃を取り出し、カウンターにいた女性スタッフに向けて数発撃った」。女性はハラーさんの知り合いだといい、「本当にショックだ」と語った。ハラーさんはすぐに床に伏せ、這(は)って逃げ、店外に出て、車まで走ったという。「車に乗ったときに本当に大きな息をついた。精神的に打ちのめされた」と時折、体を震わせながら話した。
地元警察の幹部は「現場にはおびただしい量の血が至るところにあり、恐ろしい状況だった」と語る。
サウザンドオークスは、敷地の広い家が立ち並び、安全な街として地元で有名な地域だという。すぐそばに住むサラ・シリクラさん(44)が、異変に気づいたのは、事件が起きた直後の7日午後11時半ごろだった。バーから周囲に漏れ聞こえていた音楽が止まり、集団の悲鳴が辺りに響いたという。何事かと思い、近くまで歩いて見に来ると、大勢の若者たちが悲鳴をあげながら、逃げてくるところだった。
シリクラさんは「逃げてくる若者たちの表情は決して忘れられない。シャツを着ていない人、裸足の人、けがをして血を流している人もいた。まるで戦場から子供たちが逃げてきたみたいだった」と涙ながらに話した。取り乱し、「お母さんに会わせて」と繰り返し、泣きじゃくる女の子もいたという。シリクラさんの11歳の娘は「あの店で銃撃があるなら、学校であってもおかしくない」と怖がり、8日は小学校を休んだ。
シリクラさんの19歳の娘の友人は、事件当時に現場のバーにいたという。友人は銃撃の最中、トイレに隠れ、シリクラさんの娘と電話で話していたというが、その後安否がわからないまま。シリクラさんは「無事かどうかとても心配。情報がないので、ここに来ればわかるかと思って」と不安げに話した。(サウザンドオークス= 尾形聡彦 )