福岡県小郡市の 民家で母子3人の 遺体が見つかった事件で県警は当初、 無理心中の 疑いがあるとみて捜査を始めた。 その 後、 母親の 首の 骨にひびが見つかるなどして他殺の 疑いが高まり、 一転して殺人事件と断定するなど捜査は迷走した。
福岡県小郡市の民家で母子3人の遺体が見つかった事件で県警は当初、無理心中の疑いがあるとみて捜査を始めた。その後、母親の首の骨にひびが見つかるなどして他殺の疑いが高まり、一転して殺人事件と断定するなど捜査は迷走した。
県警が「変死容疑事案の発生」として、中田由紀子さん(38)ら母子3人の死亡を広報したのは6日午後1時半。由紀子さんの自宅を訪れた姉が3人の遺体を見つけて既に約4時間が経過していた。
その際、県警捜査1課と小郡署は報道陣の取材に「由紀子さんによる無理心中の可能性がある」と説明していた。しかし、6日深夜~翌7日未明に司法解剖の結果が明らかになり、由紀子さんの首に絞められた形跡があることが判明した。
これを受け県警は7日午前3時、小郡署に捜査本部を設置したと公表。これまでの「無理心中」との見通しを「殺人事件」と軌道修正した。3人の遺体が発見されてから約18時間後のことだった。
なぜ事件の“筋読み”がぶれたのか。捜査1課によると、由紀子さんに目立った外傷はなかった上に、逮捕された夫の中田充(みつる)容疑者(38)が「妻は育児に悩んでいた」と説明。さらに由紀子さんの遺体の近くには練炭のようなものが置かれていた。捜査幹部は「他殺だとすぐに分かる現場ではなかった。取材には無理心中と殺人の両方の見通しを説明したつもりだ」と話す。
ジャーナリストの大谷昭宏さんは「初動で見込み違いがあったことは間違いない。『警察官がまさか』という思いが目を曇らせたのではないか。もし第三者が関与していれば初動のミスが捜査の大きな遅れにつながるはずだ」と指摘した。【吉住遊、中村敦茂】