茂木敏充経済再生担当相は１日の 参院予算委員会で、 秘書らが地元選挙区で線香などを配った問題について、 少なくとも２０１４～１６年の ３年分を認め、 １６年は１万６７００円支出したと説明した。 「指示はしていない」 と自身の 関与は否定した。 野党は２日から始まる衆院予算委で引き続き追及する構え。 政府・ 与党からも茂木氏に説明を求める声が出始めた。
茂木敏充経済再生担当相は１日の参院予算委員会で、秘書らが地元選挙区で線香などを配った問題について、少なくとも２０１４～１６年の３年分を認め、１６年は１万６７００円支出したと説明した。「指示はしていない」と自身の関与は否定した。野党は２日から始まる衆院予算委で引き続き追及する構え。政府・与党からも茂木氏に説明を求める声が出始めた。
参院予算委で茂木氏は、民進党の石橋通宏氏の質問に「ある程度の年数は（配布を）行っている」と答弁し、１４年より前から続いていたことを示唆した。
そのうえで「配布したという報告は受けていない」と述べたが、石橋氏から「知らなかったのか」と何度も念を押されると、「全体を把握していたという意味では知らなかった」と後退。最後は配布を知っていたことを認めた。
茂木氏は「線香に自分の名前は入っていない」として、公職選挙法が禁じた寄付行為には当たらないと主張している。野田聖子総務相は１月３１日の参院予算委で「総務省は個別事案の実質的調査権を有していない」と答弁し、今回の問題が違法かどうかの見解を示さなかった。
しかし、１日の参院予算委で総務省の大泉淳一選挙部長は「一般論」と前置きしたうえで、秘書が口頭で議員の名前を出して配った場合、寄付行為に当たる恐れがあると表明。安倍晋三首相は「茂木氏は、疑いをかけられれば、しっかり説明責任を果たしていくと思う」と述べた。
野党６党・会派は２日、茂木氏の問題を巡って総務省からヒアリングする。野党は「総務省は茂木氏をかばっている」とみており、同氏追及で足並みがそろいつつある。
１月３０日の衆院予算委の最中、茂木氏と野田氏が談笑する場面もあり、政府の緩みに与党は神経をとがらせる。公明党の山口那津男代表は１日の中央幹事会で「余計なおしゃべりをしたり、ふさわしくないヤジを飛ばしたり、言語道断だ。緊張感をみなぎらせ、節度ある国会運営や政府の対応を促したい」と苦言を呈した。自民党の伊吹文明元衆院議長も二階派の会合で茂木、野田両氏を批判した。
学校法人「森友学園」への国有地売却問題も尾を引いている。
財務省の太田充理財局長は１日の参院予算委で、情報公開請求を受けて開示した近畿財務局の内部文書など５件以外にも、会計検査院に提出していない未開示の文書が存在すると明らかにし「個人情報などがないか確認し、できるだけ早く（公表する）」と述べた。
ただ、太田氏は「検査院にきちんと提出できていれば（財務省の）主張が裏付けられた」と述べ、同省の意図的な隠蔽（いんぺい）を否定した。質問した共産党の辰巳孝太郎氏は「検査妨害だ」と納得しなかった。
「交渉記録は廃棄した」と答弁してきた佐川宣寿前局長（現国税庁長官）について、麻生太郎副総理兼財務相は改めて更迭を拒否。首相は「交渉には一切関わっていない」と、大幅値引きに関する自身や妻昭恵氏の関与を否定し、学園の籠池泰典前理事長が昨年の国会で「昭恵氏から１００万円の寄付を受けた」と述べたのは偽証だったという認識を示した。
１８年度予算案を審議する衆院予算委は、首相が出席する基本的質疑を２日と５、６両日に行う。【水脇友輔、真野敏幸】
