北海道松前町の 無人島・ 松前小島に漂着した北朝鮮の 木造船の 乗組員が島にあった発電機を盗んだとして、 北海道警は９日、 乗組員１０人の うち３人を窃盗容疑で逮捕した。 道警は任意で事情を聴いてきたが、 乗組員が８日、 函館沖で巡視船に横付けされていた木造船の 係留ロープを切って離れようとしたため、 逃亡の 恐れがあり強制捜査が必要と判断した。
北海道松前町の無人島・松前小島に漂着した北朝鮮の木造船の乗組員が島にあった発電機を盗んだとして、北海道警は９日、乗組員１０人のうち３人を窃盗容疑で逮捕した。道警は任意で事情を聴いてきたが、乗組員が８日、函館沖で巡視船に横付けされていた木造船の係留ロープを切って離れようとしたため、逃亡の恐れがあり強制捜査が必要と判断した。
逮捕されたのは、自称船長のカン・ミョンハク容疑者（４５）ら男３人。逮捕容疑は、共謀して、松前小島の漁港にある物置から発電機１基（６５万円相当）を盗んだとしている。
木造船を巡っては１１月２８日午後、島への漂着を道警ヘリが上空から確認。同２９日には、島周辺で漂流しているところを第１管区海上保安本部の航空機が発見した。その後、漁業者が避難するための小屋や物置から、テレビといった家電などの備品の大半が持ち出されていたことが、松前さくら漁協（松前町）などの現地調査で判明。発電機やボイラーも壊されるなどしており、被害額は約８００万円に上るという。灯台のそばに設置された太陽光パネルの一部が外されていたことも判明した。
乗組員の一部は道警の聴取に、島から家電製品を持ち出したことを認める趣旨の説明をして、船内からテレビなどが見つかった。乗組員は家電などを海に投げ入れたが、海保が一部を回収した。
乗組員は道警などに、９月に漁のため北朝鮮を出港、「約１カ月前にかじが故障し漂流していた」と説明。木造船のプレートにはハングルで「朝鮮人民軍第８５４軍部隊」と明記されていた。複数の乗組員は、顔写真と生年月日、名前入りの北朝鮮の船員証を所持していた。
８日午後には、乗組員らが木造船の前後につながれた複数のロープを切断して船を移動させたため、巡視船などが取り囲んで阻止する一幕もあった。
乗組員の１人は胃潰瘍で札幌市の病院に入院し、手術を受ける予定。別の１人は他の乗組員と口論になり、「これ以上船内にいたくない」などとして６日夜に巡視船に保護された。【真貝恒平、澤俊太郎】
