リニア中央新幹線の 建設工事を巡る談合事件で、 公正取引委員会は23日午前、 不正な受注調整をしたとして大手ゼネコン4社と、 4社の うち大成建設と鹿島の 幹部ら2人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発した。 東京地検特捜部は告発を受け、 4社と2人を起訴する方針。 総額約9兆円に上るビッグプ
リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件で、公正取引委員会は23日午前、不正な受注調整をしたとして大手ゼネコン4社と、4社のうち大成建設と鹿島の幹部ら2人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発した。東京地検特捜部は告発を受け、4社と2人を起訴する方針。総額約9兆円に上るビッグプロジェクトを巡る事件の真相解明は、公判の場に移ることとなる。
公取委が告発に踏み切ったのは、東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事を巡る談合事件を告発した2016年2月以来。
公取委によると、告発されたのは大林組(東京都港区)▽鹿島(同)▽大成建設(新宿区)▽清水建設(中央区)と、特捜部が今月2日に同法違反容疑で逮捕した大成建設顧問で元常務執行役員の大川孝(67)▽鹿島土木営業本部専任部長の大沢一郎(60)の両容疑者。
告発によると、2人は大林組と清水建設の担当者と共謀し、14年4月下旬から15年8月下旬、JR東海(名古屋市)が発注した品川駅(北工区)▽同(南工区)▽名古屋駅(中央工区)の新設工事3件の受注を巡り、東京都内の飲食店で面談するなどして談合し、受注予定業者を事前に決めるなどした疑いがあるとしている。
4社のうち大林組と清水建設は、独禁法の課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づき、談合を認めて不正を公取委に申告したとみられる。公取委は不正への関与の度合いや捜査への協力姿勢などから、この2社の担当者の告発を見送った。2社に対する課徴金も減額される見通し。
公取委は「我が国を代表するゼネコンが、規模が大きく財政投融資の対象となったリニア工事で不正をした悪質な事案。行政処分だけでは済まされないと考えた」と告発理由を説明した。【渡辺暢】