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項目別に判断 非正規待遇、合理性促す 最高裁

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正社員と非正規社員の 待遇格差が、 労働契約法が禁じる「不合理な格差」 に当たるかが争われた2件の 訴訟の 上告審判決で、 最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は1日、 「不合理か否かの 判断は賃金総額の 比較の みではなく、 賃金項目の 趣旨を個別に考慮すべきだ」 との 初判断を示した。 その うえで、 契約社員による訴訟で5種類
正社員と非正規社員の待遇格差が、労働契約法が禁じる「不合理な格差」に当たるかが争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(山本庸幸裁判長)は1日、「不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきだ」との初判断を示した。そのうえで、契約社員による訴訟で5種類の手当の格差を不合理と認める一方、定年後の嘱託社員による訴訟では近く年金が支給される事情などから大半の請求を棄却した。
判決は非正規の待遇設定に合理性を求めるものといえ、非正規労働者の待遇改善につながる可能性があるが、定年後再雇用の労働者にとっては厳しい判断となった。政府が策定を進めている「同一労働同一賃金」のガイドラインを巡る議論にも影響を与えそうだ。
最高裁は不合理性の判断に当たり、労使交渉の経過や経営判断、定年後再雇用などの事情も考慮要素となるとの枠組みを示した。
その上で、浜松市の物流会社「ハマキョウレックス」の契約社員が6種類の手当の格差是正を求めた訴訟では、4種類の手当の格差を不合理と認定した2審・大阪高裁判決を支持。正社員に支給される皆勤手当も「出勤者を確保する必要性は非正規社員も変わらない」として、この点の審理だけを高裁に差し戻した。
一方、横浜市の運送会社「長沢運輸」に定年後再雇用された嘱託社員3人が「賃金減額は不当」と訴えた訴訟でも、個別の賃金項目を検討。皆勤手当と同趣旨の精勤手当の格差を不合理とし、相当額の5万~9万円を3人に支払うよう会社に命じた。一方で、基本給や大半の手当の格差については、3人は退職金を受け取り、近く年金が支給されるなどを理由に不合理性を否定。精勤手当に連動する超勤手当の再計算の審理のみを東京高裁に差し戻した。
いずれの判断も裁判官4人全員一致の意見。ハマキョウレックスは「判決を真摯(しんし)に受け止める」、長沢運輸は「精勤手当以外は会社の主張が全面的に認められたと受け止めている」とコメントした。【伊藤直孝】
・正社員と非正規社員の待遇格差が不合理か否かの判断は賃金総額の比較のみではなく、賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきだ
・皆勤手当は、出勤を確保する必要性において正社員と非正規社員に違いはなく、格差は不合理
・住宅手当は、転勤のある正社員の場合は非正規社員と比較して住宅費用が多額となることから、格差は不合理とは言えない
■ことば
2013年に施行。正社員のような無期雇用労働者と、非正規の嘱託社員や契約社員のような有期雇用労働者の労働条件の差について(1)職務の内容(2)異動や配置変更の範囲(3)その他の事情--を考慮して「不合理と認められるものであってはならない」と規定する。現在、国会で審議されている働き方改革関連法案では労契法から削除され、パートタイム労働法に盛り込まれる方向で条文の表現も変更される。

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