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日産ゴーン容疑者 クーデター逮捕の深層

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ゴーン容疑者(ロイター) 東京地検特捜部は19日、 自らの 役員報酬を有価証券報告書に過少に記載した金融商品取引法違反の 疑…
東京地検特捜部は19日、自らの役員報酬を有価証券報告書に過少に記載した金融商品取引法違反の疑いで、日産自動車代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)を逮捕した。共謀したとして代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)も逮捕。倒産寸前だった日産をV字回復に導き、仏ルノー・三菱を加えた3社連合で販売台数世界ナンバー2に押し上げた剛腕のよもやの逮捕劇。クーデターともいえる裏側に何があったのか――。 日産自動車はゴーン容疑者が特捜部から任意聴取されたと報じられた直後、すぐさま「会長らによる重大な不正行為」と題し、「内部通報を受け、数か月にわたり、ゴーン会長及びケリー代表取締役を巡る不正行為について内部調査をしていた」とし、長年にわたって、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたとした。 2人の逮捕容疑は、共謀し、ゴーン容疑者が2011年3月期から15年3月期にかけて計約99億9800万円の役員報酬を受け取ったものの、計約49億8700万円と過少に記載した有価証券報告書を関東財務局に提出した疑い。特捜部は認否を明らかにしていない。 会見した日産の西川広人代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO=65)は「目的を偽って私的な目的で投資資金の使用、会社経費の不正使用」と事実上の特別背任罪に当たる行為も働いていたとした。 社内調査を行った上で、「内容からして、検察に報告して、検察当局に全面的なご協力をしてきた」と特捜部と連携した逮捕劇だったと言える。 ある経済アナリストは「ゴーン会長は日産を立て直しただけでなく、ルノー・日産・三菱アライアンス(連合)を率いる世界的な経営者。摘発するだけでも影響が大き過ぎるため、普通なら内部告発でも国税が対処して、穏便に済ませるところです。ただ、不正の額が大きいのと(ルノーが本社を置く)フランス側とも折衝しなくてはいけない事案とあって、官邸も了承のうえの特捜部による“国策捜査”になったのでしょう」と指摘する。 気になるのは一体、誰が内部通報したかだ。ゴーン容疑者は00年に日産社長に就任して以降、リバイバルプランを掲げ、大規模なリストラを敢行。現場や幹部、自らにも目標のコミットメント(約束)を設定させ、達成できなかった場合は“コストカッター”の異名通り、容赦なく切り捨てていった。 元日産関係者は「ゴーン会長のやり方に不満があっても実績を上げている以上、誰も文句を言えない。周りはイエスマンで固められていき、出世できずに冷遇され、恨みを持っている者はもちろんいたでしょう」と話す。 またゴーン容疑者は、前妻・リタさんとのトラブルも取りざたされていた。ゴーン容疑者は長年連れ添ったリタさんと3年前に離婚が成立し、翌年、キャロル夫人と再婚している。 リタさんはゴーン容疑者の不倫やDVを訴え、昨年から“告発”に出ており、トラブルは今年5月に一部週刊誌でも報じられていた。今回の内部告発の陰にゴーン容疑者のカネの流れを知るリタさんが絡んでいたのではないかとの見方もある。 西川社長は「権力が集中している中で、そうでない(反発する)勢力からクーデターがあったという理解はしていない」と話したが、今回の事態は「長年にわたるゴーン統治の負の側面と言わざるを得ない」とゴーン容疑者を断罪。不正を働いていた時期も逮捕容疑の時期からさかのぼると示唆し、取締役会に解職を提案する意向も示した。 前出アナリストは「先日、日産は子会社がタックスヘイブンを経由して、税逃れをしていたと200億円の申告漏れを指摘されたが、違法性はないと抗弁していた。ゴーン会長も過少申告ではなく、租税を巡る見解の相違と徹底して無罪を主張してくるでしょう。特捜部もその点は了承済みで、それでも逮捕に踏み切ったのは、背後にもっと国際的で巨大な犯罪行為があるのかもしれない」と予測する。 ゴーン容疑者の逮捕を受け、欧州株式市場でルノーの株価は一時15%値下がりした。当面の間、市場への混乱は避けられない状況だ。

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