愛媛県今治市の 松山刑務所大井造船作業場から逃走した単純逃走容疑で受刑者の 平尾龍磨容疑者(27)が逮捕された事件で、 平尾容疑者が、 逃走直前に刑務官に叱責され、 落ち込んだ様子を見せていたことが、 刑務所関係者への 取材で分かった。 一方、 「刑務官や同僚受刑者との 人間関係に悩んでいた」 との 趣旨の メモが潜伏先か
愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から逃走した単純逃走容疑で受刑者の平尾龍磨容疑者(27)が逮捕された事件で、平尾容疑者が、逃走直前に刑務官に叱責され、落ち込んだ様子を見せていたことが、刑務所関係者への取材で分かった。一方、「刑務官や同僚受刑者との人間関係に悩んでいた」との趣旨のメモが潜伏先から見つかっていたことも捜査関係者への取材で判明。愛媛県警は、刑務所内での人間関係がストレスになり、逃亡につながったとみて調べを進めている。
松山刑務所によると、平尾容疑者は九州を中心とした窃盗などの罪で2015年3月から服役し、同6月に松山刑務所に移送された。模範的な受刑者として、開放的な処遇で社会復帰と職業訓練に取り組む同作業場に昨年12月に収容された。
当初、作業や生活の態度も良く、刑務官や臨床心理士らによる面接にも「作業場で頑張って早く出所したい」と意気込みを見せていたが、逃走直前の3、4月には一緒に作業を行う一般社員の服をふざけて着たり、出所した受刑者の座布団を隠し持ったりと規則違反が続いた。刑務官に叱責され、落ち込んだ様子で考え込んだりしていたという。同刑務所は叱責の程度について「刑務所の中では一般的な範囲」と説明する。
松山刑務所の説明では、作業場では、塀のない寮舎で受刑者が共同生活をしており、受刑者による自治会がある。平尾容疑者は、作業場での安全管理を統括する「安全推進委員」に選ばれるなど信頼も厚く、生活態度は良かったという。
愛媛県警は、平尾容疑者と刑務官との間や、受刑者同士の間でトラブルなどがなかったかについて、関係者から事情を聴く方針。【中川祐一】
上川陽子法相は2日、平尾容疑者が逃走中に潜伏していた広島県尾道市の向島(むかいしま)を訪れ、住民代表に「あってはならない事故で、長きにわたり迷惑、不安をかけた」と謝罪した。
上川法相は、窃盗や侵入などの被害が相次いだ島北部の向東公民館で向東地区区長会の吉原充会長ら16人と、次いで同市向島町の市支所で12人と面会。「申し訳ありませんでした」と頭を下げた。住民側は今回の事件での法務省の責任を明確にするよう書面で求めた。午後は広島県庁で湯崎英彦知事と面談する。【渕脇直樹】