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過労の公務員、自殺前にSOS 「ヤミ残業」黙認問う両親の闘い

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親思いで責任感が強かった最愛の息子は、公務員としてひたむきに働いていた。「結婚して、孫もできて… …
親思いで責任感が強かった最愛の息子は、公務員としてひたむきに働いていた。「結婚して、孫もできて……。そんな未来がやってくると思ったのに、全て奪われてしまいました」。月1 間を超える過重労働の末に命を絶った息子の両親が、勤務先の奈良県を相手に起こした民事裁判で真相究明を求めている。訴訟を通じて浮かんできたのは、「ヤミ残業」の黙認が疑われる勤務管理の実態だった。
5年前の 朝、奈良県職員だった西田幹(つよし)さん(当時35歳)は奈良県大和郡山市の自宅で亡くなっていた。鳴りやまない目覚まし時計のアラーム音に異変を感じ、ベッド脇でぐったりする幹さんを見つけたのは同居の父裕一(ひろかず)さん(68)だった。
3人兄妹の長男だった幹さん。裕一さんと母隆子さん(65)は名前に「一家の大黒柱になってほしい」との願いを込めた。幹さんは時間があれば実家の畑仕事をこなし、田植えも手伝った。県職員を志したのは、「家から通える職場にしてほしい」という両親の希望を尊重したからだ。両親にとって、自慢の息子だった。幹さんは音楽鑑賞が大好きで、部屋の片隅に残されたオーディオデッキやCDは今も整理できない。
「何があったのか。誰か教えてほしい」。息子の死を受け止められないまま1カ月ほどが過ぎた頃だった。弁護士が相談を受け付ける「過労死110番」のニュースをテレビで目にした時、ピンとくるものがあった。深夜帰宅や休日出勤が続く中、幹さんが最近は職場の話をほとんどしなくなっていたからだ。
自宅を訪ねてきたある県議から有力な情報がもたらされたのは、ちょうどこの頃だ。「息子さんは過重労働に悩んでいた疑いがある」。裕一さんはすぐ行動に移した。県への情報公開請求を繰り返すと、目を疑うような資料が次々と集まった。
相次ぐ長時間の時間外労働や産業医への相談……。そして、うつ病を発症し、通院しながら働き続けていたことも知ることになる。地方公務員災害補償基金県支部は 、自殺は長時間労働でうつ病を発症したことが原因だったとして、両親の申請通り公務災害(労災)と認定した。
認定通知書などによると、幹さんは05年に任用され、県教育委員会の教職員課で働いていた15年春にうつ病を発症。直前1カ月間の残業は1 間を大幅に超え、「過労死ライン」を上回った。職場では主に職員の給与計算を担当していたが、パソコン業務が苦手だったとされ、同僚に「しんどい」と漏らしていた。上司との面談でも異動を懇願したが、すぐに希望は通らなかった。
1年後に砂防・災害対策課へ移ったが、過重労働は変わらず症状が悪化していた。相談を受けた産業医が労働時間の改善に加え、再び配置を転換する必要性を職場に指摘したのに、長時間の残業は続き、土曜だった自殺前日も出勤していた。自殺直前だった の異動期も同課にとどまっており、基金県支部は通知書で「県の対応は不十分と言わざるを得ない」と批判した。
「そこまで頑張らなくても良かったんだ。でも、管理職が適切に対応してくれていれば、幹は死なずにすんだ」。両親は労災認定の直後、県に約1億円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴した。
訴訟や一連の情報公開請求で、実際の労働時間とかけ離れた「ヤミ残業」が常態化していた疑いも浮かんでいる。奈良県では職員の出退勤時刻は、庁舎の出入り口に設置された職員証の読み取り機で記録される。この記録を基に幹さんの過重労働も明らかになった。
しかし、幹さんが職場に提出していた勤務時間の自己申告書には、1 間超の残業をした月でも 間以内の記載が相次いでいた。県は当時、職員の自己申告のみで勤務管理しており、裕一さんは「ヤミ残業を黙認し、部下を人間扱いしていなかったのではないのか」と憤る。
裁判では、幹さんの同僚が証人として出廷。「長時間の残業が続き、(幹さんが)『涙が出る』と体調不良を訴えていることも上司に伝えた」と証言したが、この上司は法廷で報告を否定した。
県側は「早期の帰宅を呼び掛ける配慮もしていた」などと主張。業務が過重だったとは言えないとして、請求の棄却を求めている。こうした中、地裁は 、県側と両親側の双方に和解を勧告したが、県側は拒否した。
自宅で取材に応じた裕一さんは、幹さんの遺影を飾った仏壇の前でこう訴えた。「反省や謝罪がなければ、同じことがまた起きてしまう。裁判所が県の姿勢を正す判断を示してくれれば、幹にも報告できる」。地裁判決は 予定されている。
長時間労働の是正は、客観的な記録に基づく勤務管理が欠かせない。働き方改革を推進する国もガイドラインを策定するが、約4割の地方自治体が職員の自己申告のみで勤務状況を把握しているとのデータもある。自己申告は「ヤミ残業」の温床になっているとの指摘があり、専門家は「勤務時間の実態把握を徹底しなければ、過労死は防げない」と警鐘を鳴らす。
厚生労働省は 、労働環境の改善を目的にガイドラインを策定し、残業時間は原則としてタイムカードなどの客観的記録で管理することを推奨する。自己申告を用いる場合も実態調査の徹底を呼び掛け、総務省は各自治体にこのガイドラインの準用を求めている。
しかし、総務省が全国の地方自治体を対象に実施した20年度の調査では、36・7%が職員の自己申告のみで管理していた。
奈良県職員だった西田幹さんの訴訟で、両親の代理人を務める松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「自己申告による管理は機能しない」と批判。自治体の多くは残業を抑える目標時間を設定していることを挙げ、「職員には目標を守らなければならないとの心理が働く。結果的に実働時間よりも過少申告するケースが後を絶たず、ヤミ残業が横行している」と訴える。
甲府地裁でも 、過労自殺と労災認定された甲府市職員の男性(当時42歳)の遺族が、申告のみで勤務管理していた市を相手に訴訟を起こした。奈良県と甲府市は現在、申告と出退勤記録などを突き合わせる勤務管理に変更したが、従来通りの管理を続ける自治体は今も少なくない。
地方公務員の勤務実態に詳しい立教大の上林陽治特任教授は「各職員の残業を減らすには、業務の削減か増員しかない。客観的な記録から労働時間を把握し、実態とのずれを埋める対策を講じなければ根本的な解決にならない」と指摘した。
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